キャリアガイダンスVol.419
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82017 OCT. Vol.419「子どものため」は 多忙化の原因でもあり、 改善の要因でもある。取材・文/松井大助 撮影/西山俊哉 広路和夫(砂時計)教育研究家妹尾昌俊 学校現場に長時間労働が蔓延していることは、10年以上前の教員勤務実態調査(2006年)で明らかになっていました。その後、各地で働き方改革が行われましたが、状況は改善したと言えません(図1参照)。 2016年に再び行われた実態調査によれば、小学校の先生の約6割、中学校の先生の約75%が、週60時間以上働いており、いわゆる過労死ライン超えの状態。他業種と比べてもこれは異常です(図2参照)。 今回の実態調査は小中のみが対象だったため、高校のデータはありませんが、愛知教育大学が2015年に行った調査によれば、平日に1日11時間以上働いている先生の比率は、小学校が65%、中学校が75%、高校が54%でした。平日のほかに休日出勤もあることを考えると、目安としては、このラインが過労死ラインと重なると思われます。高校の先生も、半数以上は相当ハードに働いていらっしゃるわけです。 学校の先生が多忙になった要因は、「子どものためになるから」とまわりから〝あれやれ、これやれ〞と言われ、先生方も「子どものためになるから」と〝あれもこれも〞引き受けてきたからだと私は思います。 海外の教員と比較しても、日本の学校の先生方は、実に幅広い業務を担っています(図3参照)。 また、その多忙が解消されない一因働き方改革の話には、複雑な思いを抱く先生がいるかもしれません。「教員定数の大幅増でもないと状況は変わらない。現場には、子どものためにやるべきこと、してあげたいことが山積みなんだから」と。教育研究家の妹尾昌俊氏は、その「子どものため」とはどういうことかを見つめ直しませんか、と提唱されています。氏に、現場発で進められる働き方改革の可能性を語っていただきました。教員の過半数が過労死ライン超え多忙化の背景にある「子どものために」の思い学校の先生の1日の平均勤務時間図1平 日休 日学内勤務持ち帰り学内勤務持ち帰り小学校2006年度10時間32分0時間38分0時間18分1時間26分2016年度11時間15分0時間29分1時間07分1時間08分中学校2006年度11時間00分0時間22分1時間33分1時間39分2016年度11時間32分0時間20分3時間22分1時間10分高校(全日制)2006年度10時間00分0時間26分1時間15分1時間26分2016年度llll※「教員勤務実態調査」(2016年度)の調査対象は小・中学校で、高校の調査は行われていない出所)文部科学省「教員勤務実態調査(小・中学校)」「教員勤務実態調査(高等学校)」(2006年度)および「教員勤務実態調査」(2016年度)をもとに作成せのお・まさとし●野村総合研究所で公的組織のビジョン・戦略立案、行政改革、学校マネジメントなどのプロジェクトに多数携わり、2017年に独立。文部科学省委託による学校業務改善アドバイザーの活動のほか、研修・講演・執筆活動などに従事。中央審議会「学校における働き方改革特別部会」委員。

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