キャリアガイダンスVol.420
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業を通じて生徒自身が行うことが大切だということです。 この「見方・考え方」を働かせた学びは、冒頭で述べたように、ALが表層的な型としてではなく、「深い学び」につながるための要件とも言えます。例えば数学の授業で、ある公式についてグループワークで学ばせようとしたとき、公式の根拠や成り立ちについて対話することで学びを深めることもあるはずです。しかし、それについては黒板で先に解説してしまい、問題を解く段階になってから対話させようとする先生も大勢います。解き方の教え合いを期待してのことでしょう。けれど、そこで話し合われるのは、学んだ公式の適用の仕方でしかありません。なかには公式の意味に立ち戻りながら、数学的な「見方・考え方」を働かせて問題に取り組むグループもあるでしょうが、ごく少数だと思います。 同様に、歴史であれば、その事象の背景や現代社会における意味といった歴史的な「見方・考え方」を働かせるべきところを、授業の最後に行うプレゼンテーションを最大の目標かのようにしてしまう。すると、話し合いの時間の多くは「どのデータをどこに入れるか」「何色のペンを使おうか」など、作成プロセスに割かれかねません。そうならないためにも、教科特有の「見方・考え方」を意識する。ALが表層的に陥らないための手立てです。 各教科の特質に応じた「見方・考え方」が、学びの深まりの鍵となるとはいえ、毎時毎時、「こういう見方をしなさい」と教員が教えるのは逆効果。大切なのは、子どもたちが、狙った「見方・考え方」を働かせたくなる場面を用意することです。 その点、効果的なのが、授業導入部における焦点化した問いかけです。例えば、高校の生物で腎臓の働きについて話し合いながら学んでほしいとき、次のどの問いかけが適していると思われますか?❶腎臓の働きについてまとめよう。❷腎臓について調べ、ポスターを作ろう。❸腎臓はどのようにして体内環境を調節しているか考えよう。 ❶は、教科書の節のタイトルのよう。抽象的すぎて何について話し合えばいいのかよくわかりません。❷は、前述したように、どうまとめるかに話し合いの主眼が置かれてしまいがちです。それに対して❸は、問いが具体的。本当は腎臓全体の働きについて学んでほしいのですが、特に押さえてほしい点に絞ることで、理科が不得意な生徒でも、参加しやすくなりますし、そこで得た理解から、「では腎臓には他の働きもあるのだろうか」「他の臓器とどう関連するのだろう」など、新「前向きアプローチ」と「後ろ向きアプローチ」の概念図2※益川教授の解説をもとに編集部で作図12345【後ろ向きアプローチ】単元の目標単元の時間生徒覚える教員確認する12345【前向きアプローチ】単元の目標単元の時間生徒考える教員把握する焦点化された問いかけによって狭めてから広げる 「見方・考え方」は教えるものではない。働かせたくなる場面をいかにつくるか

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