キャリアガイダンスVol.420
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置き、そこからの発展が見込めません。 対して前向きアプローチは、目標に向かわせることは同じですが、実際には、生徒は多様であるため、教員の思い通りになぞってはくれません。興味関心の低い生徒もいれば、その単元の「見方・考え方」を働かせながら、考えを深めていく生徒もいます。この場合の教員の仕事は、確認ではなく把握です。学びの状況や、伸びなどを把握し、その都度、問いを設定していく。それも、生徒間で理解の幅が広がりすぎることのないよう、焦点化された問いでなければいけません。 後ろ向きアプローチが、どれだけ目標に近づいたかという差分を評価するのに対して、前向きアプローチでは、授業の開始時点と終了時点でどれだけ伸びたかを評価することになります。生徒の学ぶ力を信じている授業設計とも言え、学習観を変えることにもつながるでしょう。 生徒がどれだけ「見方・考え方」を働かせた「深い学び」をしているかを見極めるためには、評価自体の在り方も見直さないといけません。 参考にしていただきたいのが、「認知」「観察」「解釈」の三つの要素からなるペレグリーノの「評価の三角形」(図4)です。授業を例にとると、「認知」は、育成したい目指すべき生徒の状態。「観察」は、それが達成したか適切に確かめる評価の手法。「解釈」は、それによって数値化された結果です。 例えば、歴史の授業において、年号を暗記することが学習なのだと定義するとします(認知)。その場合、授業の最後に年号を問う穴埋めテスト(観察)を課すことで成績が決まります。 そうではなく、歴史事実の体系的理解を学習目標にするのであれば(認知)、穴埋めではなく記述式試験(観察)によって、体系的な理解がなされているか確かめることが評価として適当となるわけです。 ところが、実際の教育現場では、「認知」と「観察」にズレが生じることが多々あります。「見方・考え方」を働かせて、深く学んでほしいと言っているのに、〇×式の確認テストでしか評価がされないケースはその典型。この場合、「その時代の歴史を体系的に理解はしているけれど、年号までは覚えていない」とか、「化学変化の仕組みは説明できるものの、正確な化学式は書けない」といった生徒が、不当に低く評価されてしまう恐れがあるのです。 大学入試が変わろうとしている背景はまさにそこ。社会が変わり、資質・能力の三つの柱の育成が大事になった評価の三角形図4観察認知過程を観察する手段認知生徒に引き起こしたい認知過程(学習過程)「見方・考え方」に応じて「観察の窓」を広げる解釈観察できた認知過程を解釈わかると同時に、新たな疑問が発生する。次の学びへつながる大切なサイクル122017 DEC. Vol.420

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