キャリアガイダンスVol.420
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伝え合う「怖さ」を「楽しさ」にシフト教室を英語で思考・表現する空間に通じず、理解してもらえないことを恐れている。 また、日本の子どもは全般的に「わかりやすい『一つの答え』を求めたがる傾向がある」とも感じている。 このままでは、社会で自分の力を発揮しにくいのでは、と布村先生は危ぶむ。最近は海外でも国内でも、「答えのない問題について異なる立場の人と意見を伝え合い、どう折り合いをつけるかを考え続ける」ことが求められていると思うからだ。 だから布村先生は、英語を学ぶ生徒の意識から変えようとしている。 教科書を読み込むのは、授業で指されたときにそつなく答えるためか。いや、教科書の内容からまだ知らなかったことを吸収し、「読んで自分の考えを深める」ことまでしてほしい。 英会話といえば、例文や自作の英文を「音読」すればいいのか。そうではなく、即興で繰り出した言葉に思いを込めて「相手に伝えようとして英語を話す」「相手の考えを知りたくて英語を聞く」こともしてほしい。 つまりは英語をただ覚えるのではなく、授業中から実践的に使う。「まわりとコミュニケーションを取って考えを深めるために、英語を使おう」という見方・考え方を、生徒が自然にするようになってほしいのだ。 その意識で英語を使っていけば、英語を見聞きしながら考え事をして、思ったことを即座に英語で伝える、ということに慣れてくる。聞く・読む・話す・書くという4技能を合わせて使いこなす力が高まるわけだ。 しかも「意見を伝え合おう」と思って教科書の題材を学んでいけば、自分とは違う意見をもつ人がたくさんいることも生徒が実感していく。取材・文/松井大助 進学校である両国高校に入学してくる生徒について、布村先生は「勇気が出なくて思ったことを言えないことがある」と感じている。自分の思いを英語で言うとなれば、なおさらだ。これまで勉強ができる子とみられてきただけに、間違うことや、言ってみたのに相手に教員暦15年。小学生の数年間を父の転勤でイギリスの公立学校で過ごす。大学卒業後、銀行勤務を経てオーストラリアに留学。二度の海外生活で、多様な個性が認められる心地よさや、考えが違っても折り合いをつけていく大切さを実感。子どもたちがお互いを認め合って生き生き過ごせる学校現場を実現したいと思い、教師を志望。授業デザイン1901年設立/普通科/生徒数593人(男子287人・女子306人)/進路状況(2017年3月卒業生)大学136人・専門学校1人、その他49人学校データ両国高校 (東京・都立)布村奈緒子先生英 語どんな生徒か正解がわからないときに意見を言い合うのは不慣れ見方・考え方英語で伝え合うために「流暢」に話すことも意識生徒が意見を述べるときは、そう考えた「理由」まで添えることを求めている。そこまで考えると、①本人の思考が明確になり、②他者との違いも見えてきて、③相手にも伝わりやすくなり、伝え合う楽しさをより体感できるからだ。 議論をするときは「意見を言う役」「進行役」「聞き役」「書記役」などを入れ替わりで担当する場合も。話し合いの中でさまざまな4技能を使う経験を積むことができる。 単元学習の締めでは、教科書の内容に沿った「問い」を生徒が話し合う。その問いは、意見を出し合うことを楽しめるように、①生徒が自分ごとで考えられる問い②比較して考えると面白そうな問い③因果関係を考えると面白そうな問い自分の意見に「理由」を添えて表現することになじませる1各自に役割を割りふることで議論の中で4技能を使う2生徒が面白がる「問い」を単元内容に沿って投げかける3162017 DEC. Vol.420

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