キャリアガイダンスVol.420
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より良い社会をつくる一人として自分で考え行動できる人になってほしいの主権者教育ではない。「平和で民主的な社会の形成者として自分自身の価値判断ができるようにする」という広い意味で捉えて実践している。 「主権者教育は公民科の一単元としてではなく、学校生活のさまざまな場面で取り組むものです。それを最も実践しやすいのが公民科ですので、教科全体で取り組んでいきたいと考えています」 大畑先生が第一に目指すのは、生徒が社会との接点のなかで「自分の軸」をもつことだ。 「社会に関して『どうあるか』という知識だけでなく、『どうあるべきか』という改革の視点も大切です。社会の問題を自分の問題として捉え、自ら考え判断し行動していけるような、自分の軸をもった価値判断を身に付けてほしいと考えます」 そのうえで「対話」を重視する。 「異質な他者と対話があってこそ、平和で民主的な社会といえます。考え方が違う人がいるという前提をふまえ、それを排除するのではなく、対話を通じて合意形成していく姿勢と方法を学んでほしいですね」 そうした考えに基づく授業を行うとき、立ちはだかるのが生徒の「無関心のバリア」だ。 「初回授業では、現首相の所属政党を答えられない生徒も少なくありません。高等教育無償化や奨学金など生徒自身に関係のある問題は多いのですが、なかなか自分の問題として興味をもつことが難しいようです」 そのために、大畑先生は3つの「C」を心掛けている。1つ目の「C」は「キャッチー」で、生徒の気持ちを引きつけるため、現代社会の生の素材を扱い、ディベートや体験活動などの手法を取り入取材・文/藤崎雅子 高島高校で「政治・経済」を教える大畑方人先生は、公民科の学びの大きな役割は、生徒の主権者意識を育むことだと考える。教員になって間もない十数年前から、授業で模擬選挙に取り組んできた。ただし、大畑先生が行いたいのは、「投票行動を促す」という狭義大学卒業後、半年間かけてアジア諸国を放浪。いくつかの私立中学・高校を経て、2013年度から高島高校で教鞭をとる。教員歴15年。「冷たい頭と熱い心」をモットーに主権者教育やキャリア教育に力を入れている。生活の拠点を東京都文京区と千葉県鴨川市の2地域に置き、週末は家族の住む南房総の里山・里海で過ごす。見方・考え方自分の軸をもって価値判断できる力を育む授業デザイン身近な課題から考え段階的に自分事化を図る実際の授業の流れ■テーマ:ぼくらの政党をつくろう― 2017年10月の衆議院総選挙公示翌日に実施された特別授業―1973年設立/普通科/生徒数988人(男子519人・女子469人)/進路状況(2017年3月卒業生)大学192人・短大20人・専門学校55人、就職7人、その他37人学校データ高島高校 (東京・都立)大畑方人先生公 民各党党首が演説する様子を伝えたニュースを視聴。「今日はこれをみんなにやってもらいます」。現在の政治課題の掲示や、新聞記事コピーの配布などヒントを提供。グループに分かれて、自分たちがつくる政党について「政党名」「キャッチフレーズ」の他、「解決すべき社会問題」に基づいた「政策をひと言で表すと」「政策の具体的な内容」「この政策によって将来の社会はどうなる?」について検討。グループを代表する「党首」がマイクを持って演説。戦争のない平和な国を目指す党、税導入1グループワーク2「党首」演説3ま さ  と182017 DEC. Vol.420

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