キャリアガイダンスVol.420
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数学的な見方・考え方を柔軟に働かせ目の前の問題に立ち向かう力を育む 「ここまではやってみたができなかった、というように試行錯誤することの大切さを、もっと生徒に感じてもらわないとなあ、と反省しました」 生徒たちと接するなかで、課題に感じたことがもう一つある。 「本校の生徒は、考えてごらんと言えば一生懸命考えますし、我慢強くもあるのですが、教科書や教師の説明を素直に受け取りすぎるように思うのです。その説明で本当にすべて納得できたのか、何かまだ気になる点はないか。そうした自分なりの疑問をちゃんともちながら勉強したほうが、学びは深まると思うんですよね」 そうした生徒の姿勢に変化をもたらせるよう、井上先生は授業を通して、「生徒の数学的な見方・考え方を豊かなものにしていきたい」そうだ。 具体的にはどういうことか。 まず一つは、生徒が何らかの問題と対峙したとき、数学的な見方・考え方を柔軟に働かせられるようにしたい、ということだ。「このなかに数量や図形的な共通点を探すことができないかな?」「AとBのここを比べたら、共通点や違いを見つけられるかも」「一見バラバラなこの情報をこんな視点から分類したらどうなる?」「Aの条件を変えたら、Aと関連するBはどうなるか考えてみよう」 そのように問題をいろいろな方向から眺められるようになれば、そこから仮説や解決の糸口を見出していける。茫然と立ちすくむのではなく、少しずつでも前に進めるようになり、「見通しをもって問題を発見・解決する力」がついてくるのだ。 さらに井上先生は、問題を解決できたあとも、生徒が数学的な見方・考え取材・文/松井大助 広島大学附属高校の井上先生は、以前に生徒とのやり取りのなかでショックを受けたことがある。受験を控えた3年生をみていたとき、数学の質問にきた生徒のなかに、問題に何も手をつけないまま「わかりません」とやってきた生徒がいたのだ。教員歴18年。今強い関心をもっているのは、新設が検討されている「探究的な科目」。数学の授業で、教科書に沿った問題を解き、その過程で生徒の中に芽生えた疑問を、探究的な科目の授業のほうで、おのおの自由に追いかけることはできないか。そんな「生徒の疑問から発展させることのできる授業」の実現を期待しているという。実際の授業の流れ1905年設立/普通科/生徒数612人(男子322人・女子290人)/進路状況(2017年3月卒業生)大学128人・短大その他2人学校データ広島大学附属高校 (広島・国立)井上芳文先生数 学どんな生徒か試行錯誤や疑問をもつことに慣れていない生徒もいる見方・考え方問題を解くときも解いたあとも多面的に物事を眺めていく解決すべき問題を共有する1手を動かす(1) 作図・計測など2手を動かす(2) 具体例で算出3まずは生徒がどこから手をつければよいかわからない大きな問題を示す。問題を踏まえて、作図したり、測ったり、数えたり、紙を折ったりして、どうなるか調べる。「この長さを1としたらどうなる?」などと具体的な条件を設定して問題を解いてみる。予想や仮説を立てられる解決の糸口が見えてくるラグビーでゴールにボールを蹴るとき、2本のポールの間が広く見える位置は?2点A, Bから見込む角の最大値は?数学で表現242017 DEC. Vol.420

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