キャリアガイダンスVol.420
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 ではどうすれば生徒の興味・関心の扉を開くことができるでしょう。 例えば初任校では、私は授業の中にこんな活動を取り入れてみました。生徒がおのおの1から100までを足し算し、一番早く答えにたどりつけた人を優勝とするゲームです。 この計算のやり方としては、半分で折り返して足し算する手法がよく知られています。1と100を足し、2と99を足し、同じようにしていくと101×50となるので、答えは5050になる、と。 でも私の狙いは、そのやり方を教えることではありません。そうではなく、生徒全員に電卓をもたせて、ただひたすら電卓を叩かせます(笑)。やることが単純なので、生徒たちも優勝しようと張り切ってやりますよ。 もちろんこれだけで終わったのでは、るプロセスとして、文部科学省では図のような2つのサイクルがあることを示しています(図2参照)。 一つは、日常生活や社会のなかにある現実の問題から出発して、それを数学のモデルにして分析し、解決していくサイクル。もう一つは、数学そのものについて学問的な理解を深めていくサイクルです。 こうしたサイクルを回す楽しさを、生徒たちにぜひ知ってほしい。 ところが、このような話をすると先生方からよく言われるんですよ。 「でも、うちの生徒はそうしたことに感動しないんですよ」と。 本当にそうでしょうか。 私たち教師のほうが、普段の授業を、生徒にとって感動できないものにしてきた側面があるのではないでしょうか。 子どもは本来、各教科で学べることに対して、打てば響くような心をもっているように私は思うのです。数学の活動にはなりません。 そこで次に「1から200まで足したらどうなる」というお題で競争します。すると、ほとんどの生徒がまた1+2から電卓を叩き始めます(笑)。 でもね、面白いもので、段々、生徒がいろいろな発見をしていくんですよ。折り返して計算する発想まではいきませんでしたが、「さっきの5050に、101から200までの合計を足せばいい」とか、「101から200の合計は、数学的な見方・考え方とは?数学の問題発見・解決のプロセス図1図2各教科の見方・考え方は生徒が「つかみ取る」もの1から100まで足した数に、100×100を足した数と同じだ」とか。そうした話が出るたびに皆で面白がって。 この段階までくると、生徒たちは、数量に着目することや、わかったことから論理的に考えることを楽しみはじめます。つまり、数学的な見方・考え方というのは、教師が「教える」ものではなく、生徒たちが自分で「つかみ取る」ものだと思うのです。感動しない生徒が多いのは私たちの授業がそうさせたのでは?数に着目する、数で表現する、量に着目する、図形に着目する、数量や図形の関係に着目する など帰納的に考える、順序よく考える、根拠を明らかにするなど日常生活や社会の事象数学の事象関連づける、既習の事柄と結びつけるなど適用範囲を広げる、条件を変える、新たな視点から捉え直す など事象を、数量や図形およびそれらの関係などに着目して捉え、論理的に考えたり、統合的・発展的に考えたりする。【現実の世界】【数学の世界】数学化数学化活用・意味づけ総合・発展/体系化A1A1A2A2D1D1D2D2CCBB数学的に表現した問題焦点化した問題この図は数学の見方・考え方を働かせた問題発見・解決のプロセスを示したもの。まずは「日常生活や社会の事象」や「数学の事象」を(A)数量や形に着目して数・式・図・グラフなどを用いた「数学的に表現した問題」にする。さらにその問題を解決する構想・見通しを立てて(B)「焦点化した問題」に落とし込み、一定の手順にしたがって数学的に処理したり、論理的に推論したりして(C)結果を導く。そしてその結果を(D)生活や社会のなかで活用したり、数学のさらなる発展や体系化に活かしていくのだ出所)文部科学省「算数・数学ワーキンググループにおける審議の取りまとめ」の資料を基に作成出所)文部科学省「算数・数学ワーキンググループにおける審議の取りまとめ」の資料を基に作成結果下町壽男校長(岩手県立花巻北高校)見方・考え方が人生を楽しくする352017 DEC. Vol.420

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