キャリアガイダンスVol.420
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 生徒を信じて、生徒が主体的に活動する場を設けることで、教科ならではの見方・考え方をつかみ取ってもらう。そのスタンスは、進学校といわれる学校に勤務したときも変えませんでした。 進学校の授業のアイスブレイクでよく出したのは「1から9までの異なる4つの数の組み合わせで、四則演算のみで10を作れ」という問題です。4つの数の組み合わせは126とおりあるのですが、そのすべてが10にできます。 するとね、3、4、7、8の組み合わせのように難解なものもあるので、下手をすると授業そっちのけでこの問題をずっと考える生徒が出てきます(笑)。ここまでくると行きすぎかもしれませんが、そうやって生徒が自ら課題と向き合おうとする時間が大事だと思うのです。 なかには、「そんなことよりも早く教科書を進めてほしい」と望む生徒もいます。ですが私は、そうした生徒こそ数学の楽しさに「まだ目覚めていない」と捉えています。 教科書の内容を覚えることに専念すれば、確かに直近のテストでは点数を取れるかもしれません。けれどもそれは、教科書の各単元の「知識の断片」を頭に詰めただけ。今井むつみは『学びとは何か』という本の中で、これをスライスした肉を何層も重ねてつくるドネルケバブ型モデルの学びといっています。これでは、教科書どおりの問題以外にはなかなか活用されていきません。 対して、数や式、図やグラフが語っている声に耳を傾けたくなるような、言うなれば式や図と友達になるような感覚をまず手にしたらどうでしょうか。そのなかで疑問をもったり、気づきを得たり、混乱したり、納得したりしながら学んだことは、前から紙を三等分する方法を考えてみよう「紙を三等分するには?」というお題。二等分や四等分の折り目をつけるのは簡単だが、三等分は一筋縄ではいかない。手を動かしてあれこれ試していくと、「半分の半分に折るのをくり返したらどうだろう」「斜めに折ったときにできる三角形をうまく使えないかな」「紙を2枚使ったら」などいろいろなアイデアが出てくる。写真は、下町先生がそれらのアイデアを数学的に表現したもの。気軽に楽しく取り組めることから始めて、数学の奥深さを感じてもらうところまでもっていくことは、工夫次第でできると下町先生は考えている。テストで点数が取れるだけでは教科の本質にまだ目覚めていない知識は詰め込むものではなく本人の視点から「編み直す」↖362017 DEC. Vol.420

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