キャリアガイダンスVol.420
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業式のときに、わざわざ私のところに話をしにきてくれたのです。 「九九の中の7の段は、1から9までの数字が1回ずつ出てくる。先生、これ、知っていた?」と。 さすがに数学の教師なので知っていました。でも私は感動したんです。彼はそれを「自力で発見」し、教えにきてくれたのですから。「すごいな、お前」と涙まじりに称賛しました。 それぞれの教科ならではの見方・考え方を働かせて、物事を探究したくなる感性を、生徒たちはもともともっている。我々教師の仕事は、その内にあるものを生徒が自分の手で引き寄せられるように、学びの環境を整えることだと思います。 そのための授業デザインとしては、授業というものを映画や演劇のようなものだと考えたときに、「その舞台授業という舞台のあり方を仲間と共に考えてほしいの主役は誰になっているか」をイメージしてみるとよいと思います。 生徒よりも先生のほうが圧倒的にセリフが多かったり、全シーンを通して先生が一番目立っていたりすることはありませんか?(笑)。 舞台の中央で生徒たちが生き生きと躍動するようにしたいなら、どうすればいいか。教師ばかりが説明せず、生徒の考えをもっと引き出すことに腐心する。生徒が見出した疑問や結果を起点にして、その先の授業のストーリーを展開することはできないか。生徒の興味・関心に火がついて自ら動き出せるよう、ヒト・モノ・情報などの舞台装置を工夫できないか。テスト結果や提出物だけではなく、問題解決に向かうまでのパフォーマンスやプロセスにも目をとめて、何らかの形で評価していけないか。そうしたことをぜひ思い描いてみてください。 それからもう一点。授業のことで「アクティブラーニング」や「見方・考え方」といったキーワードが打ち出されると、先生方は「それをしなければいけない」と考え、新しい鎧を身にまとうような発想になりがちです。 ですが、もっと裸の自分を信じるところから始めてもよいのではないでしょうか。自分が知る教科の魅力を生徒にも感じてもらうには、どんな授業にすればいいかシンプルに考えてみる、といったように。そしてそこを目指すために、授業を変えることや、自分を変えることを、恐れずにやってみてほしいです。 とはいえ、おそらく今は時代の転換期であり、自分の進んでいる道がどこに行き着くか簡単には見通せません。それだけに、変化を恐れずに一人で歩み続けるのは大変ですよね。先が見えないから「今までどおりでいいや」と委縮してしまったり。 だからこそ、自分の想いを、愚痴を含めて語り合えるような仲間の存在が大事になってきます。そうした仲間がいれば、共に歩み続けることができるはず。そして歩み続ければ、あるときに視界がパッと拓けて、この先の道しるべとなる変化の灯台が、きっと見えてくると思いますよ。授業を舞台のように考えたときその主役は誰になっているか下町壽男校長(岩手県立花巻北高校)見方・考え方が人生を楽しくする392017 DEC. Vol.420

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