キャリアガイダンスVol.420
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「なぜ勉強するのか?」を伝えることで、「自分の頭で考えられる生徒」を育成浜館宏樹札幌第一高校 校長まとめ/長島佳子 撮影/小牧寿里1958年、普通科男子校として創立。1967年男女共学に移行した。2000年から、進学校を目指し、国公立、難関大学への進学率が飛躍的に伸長。2015年、新校舎完成とともに、校内にWi-Fi環境を整えた。今年度から、1年生全員にタブレットを導入。IT教育にも力を入れている。札幌第一高校(北海道・私立)はまだて・ひろき1961年生まれ。北海道教育大学札幌分校外国語科卒業。洋楽や映画の影響で英語に興味をもち、外国語科に進学。父がもともと理科の教員であったにもかかわらず、音楽が好きで音楽教員に転向したことに影響を受け、英語教員を目指す。1989年、札幌第一高校に着任、2001年まで担任業務に従事。2001年、学年主任として進路指導システム「進路コンパス」を開始。2004年、学習指導システム「学習コンパス」を再構築するなど、同校の指導システムの根幹となる仕組みを中心となって設計、実施。2007年、教頭就任。2009年、副校長就任。2011年から2013年まで管理職兼3学年の担任を担当。2015年より現職。2017年、思考力、判断力、表現力を養う指導システム「探究コンパス」を開始。現在も希望生徒に直接英語講習を実施。繰り返し伝えることは「間違えなさい。そして、考えなさい」。 本校は創立以来、文武両道を掲げていますが、私が着任したころは部活動により力を入れていました。しかし、スポーツを生業とできる生徒は限られています。また、高校3年間はその先の人生を考えるための場です。当時の社会的風潮であった「高校時代が楽しい人生のピークである」という認識を与えない方法を考えました。そして、生徒たちに大人からのメッセージとして、人生を豊かにするために、「なぜ勉強をしなければいけないのか?」を伝える必要性を痛感しました。 そこで、学年主任になったときに、「進路コンパス」という総合学習を利用した進路指導を始めました。1学年では、5年後、10年後、15年後の自分をイメージし、そのために今何をすべきかを考え、身近な大人への職業インタビューなどの課題に取り組みます。2学年ではオープンキャンパスに参加し、志望校について調べます。進路コンパスにより、生徒たちが将来に興味をもち始めたものの、それを叶えるためには何をどう勉強すべきかという課題が出たため、次の学年主任の年に「学習コンパス」という名称で、すでに行われていた講習や学習方法の指導をまとめ直しました。 こうした取り組みの一方で、少子化による志願者の減少や、公立校の受け皿という立場を脱するための課題が本校に突きつけられていました。当時の管理職の方々は、学校の生き残りを賭けて、進学校への舵取りを決定し、我々の学年での「進路コンパス」「学習コンパス」を全校的な取り組みとすることになりました。その結果、国公立大学への進学者が年々増加し、現在では12年連続100名を超えています。  時代の変化により、社会が学校に求めることも変わってきたなかで、自分の力で課題を見つけ、解決の道筋を探せる生徒を育成しなければなりません。そのために今年度から「探究コンパス」という新たな取り組みを始めました。大学のゼミ形式のような授業で、自分の好きなことをテーマに研究し、論文にまとめる授業です。論文のテーマというと、生徒たちは「環境問題」など自分の興味とは別に真面目なことを考えがちですが、サッカーが好きなら欧米と日本のサッカーの違いやその理由を分析するなどでもよいのです。自分の好きなことと社会とのつながりに気付き、それを教科で勉強したことを使って読み解く力をつけ、それが進路選択につながっていくことに気付いてほしいと考えています。 生徒たちは社会に出た後にも、岐路に立たされることが多々あると思います。そのときに、「どうやって自分は進路を決めてきたのか」を振り返って考えられれば、その先の道を選ぶ力になるのではないでしょうか。 進学率が上がってきたことで本校を志願する優秀な生徒も増えてきました。しかし改革はまだ道半ばです。優秀な生徒たちの期待に応えられるよう、さらに良質な教育を提供していくことが今後の課題と捉えています。「高校時代が人生のピーク」と捉えていた生徒たちに、学ぶ意義を伝えていく社会と学校のつながりを意識させる「探究コンパス」をスタート412017 DEC. Vol.420

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