キャリアガイダンスVol.420
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球く磨ま工業高校 (熊本・県立)当事者意識をもたせたい!進路が決定した3年生と進路志望決定前の2年生の本音トークの場を設定今回は就職率100%を誇る工業高校が登場。進学中心の高校にも応用できそうな取り組みをご紹介します。取材・文/永井ミカ熊本県教育庁高校教育課 指導主事(前同校進路指導主事)福永貴史先生(左)進路指導主事松村新也先生(中)1学年主任(前3学年担任)石川政靖先生(右) 機械科、電気科、建築科、建設工学科の4科からなる球磨工業高校。建築科には全国でも珍しい伝統建築コースもあり、卒業後にさらに2年学べる伝統建築専攻科も併設する。建築の専門誌にも掲載されるほどの一部の校舎は、ふんだんに木が使われており開放的でモダン。九州山地に囲まれた一帯は林業が盛んだ。 恵まれた環境で高い専門性をもって学んでいる同校の生徒は、企業から引く手あまた。求人票は1000件を超え、ここ数年内定率も100%が続いている。しかし、それぞれの専門性を活かせて、なおかつ自宅から通えるような企業は多くない。同校の就職希望者8〜9割のなかのさらに9割ほどが県外(関東、関西、中京地区など)の大規模な工場を持つ企業へ旅立つ。 そのため、就職先をよく知らず、当事者意識をもつのが遅れるというのが大きな課題だった。従来の進路指導は、同じ科の先輩の過去の実績と、生徒の評定平均や適性などを照らし合わせ、教師が示す5社くらいの選択肢の中から決めていくプロセスとなっていた。 主体性をもちにくいシステムのなかで、就職先を自分で選んだという自覚がないまま卒業していく生徒もいる。同校の生徒の離職率は相対的に低いが、安易に決めた生徒ほど安易に離職しているという実感が先生方にはあるという。また、遠く離れた企業に生徒を就職させるということは、先生方にも「生徒の一生を決めるようなプレッシャーがある」とのこと。生徒自身にもよく考えてもらいたいし、周りの他の人の意見も聞きたい。 そこで、これから就職活動を始める2年生がスムーズに当事者意識をもち主体的に活動していけるようにとの狙いで始めた取り組みを、次ページで紹介したい。 生徒が進路について受け身になってしまい主体性がもてない。高校の進路指導の現場でよく聞く課題だが、就職の場合、課題を解決したくてもシステムとしての難しさに直面する。例えば、「わかりにくい物差し」の問題。模試があり偏差値があるという「わかりやすい物差し」をもつ普通科の生徒の進学とは違い、先輩の過去の実績や教師の知識などに頼らざるを得ない。また、一人一社制や指定校推薦制の通例もあり、どうしてもルールに従った教師主導の進路選択になりがちだ。 そんななかで生徒に主体性をもってもらうためにはどうすればよいのか。毎年就職率100%を達成している工業高校が、あえて始めた取り組みをご紹介。進学校にも参考にしてほしい、汎用性の高い取り組みである。進路指導実践を磨く!● これから進路を決める2年生が当事者意識をもちにくい● 成績と進路先の相関関係が生徒にとってわかりにくい● 古くからの慣例があり進路指導を工夫しにくい● 進路が遠方の場合、どのようなところかイメージしにくい● 主体的に進路先を決めたという実感がもてずに卒業・就職する背景● 進路が決まったばかりの先輩(3年生)と、これから真剣に考え始める後輩(2年生)がグループで語り合う場を設ける実践内容課題の整理教員任せに陥りがちな現状のシステム県外からの求人が多く企業イメージがつかみにくい1963年創立/機械科・電気科・建築科・建設工学科/生徒数544人(男子492人・女子52人)/進路状況(2017年3月実績)大学進学7人、短大進学1人、専各進学11人、就職141人432017 DEC. Vol.420

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