キャリアガイダンスVol.420
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0402060100(%)80いよ。辞めたらダメ」「求人票の裏に配属場所とか細かいこと書いてあるけん、しっかり見といたほうがいいよ」などのアドバイスも。 「こういった話は従来も教員がしています。けれども2年生の顔つきが違う。また、3年生同士も話を促し合う学びの共同体が創出されていると感じました」と福永先生は言う。進路トークと似た取り組みに「合格体験談」や「先輩と語る会」などもあるが、実施時期や実施スタイルによっては話が弾まず、特に後輩からの質問が出にくい。しかし、進路トークでは後輩がよく質問を投げかけていたそうだ。じだったのですが、クラス全体の意識が高まりました。2年生の3学期には方向性が定まった生徒が結構いました」と言う。 また、名前も知らない遠方の企業に内定した先輩にリアリティのある話を聞き、自分のこととして選択肢を広げしっかり考え始める生徒も出てきた。「遠い知らない企業ではなく、目の前にいる先輩がこれから勤める企業」として、求人票を見る目も変わってくるそうだ。実際に求人票の細かいところまでしっかり見るようになっているという。 アンケートでも進路トークが「とても良かった」「良かった」を合わせると、15年度は98・8%、16年度は96・5%にも上った。そしてフリーアンサーでは「クラスメートが進路について真剣に考え、進路の話ができるようになった」「インターネットで企業を調べるようになった」そして「勉強や部活をがんばるようになった」などの声が聞かれた(図5)。 さらにこの取り組みは、3年生の先輩にも良い効果をもたらしている。進路が決定した3年生には従来あまり課題はなく、平穏無事に卒業さえできればよいという雰囲気があった。しかし、後輩に伝えるという新しい課題ができた。就職予定の企業について会社案内などを読んで改めて見直し、後輩になぜ自分が選んだか、どのようにして合格したかを伝えるという「振り返り」ができる。そして、「社会人として必要な、質問されたことにその場で答える力をつける練習にもなると思います」と石川先生は言う。なお、16年度の進路トークの先輩は、前年度に自分が後輩として参加した生徒たち。一度経験しているため、話す内容はより整理できていたようだ。先輩から後輩へ、毎年語り継ぐという形がすでにできつつある。 「進路トークの取り組みを通して〝先輩〞のもつ資産価値の高さに改めて気づきました」と福永先生。自分がこれから経験し進むべき道を、最も近い時期に経験して最も身近にいる存在が先輩である。例えば、2年生に事前に「聞いてみたいことアンケート」をとると、「求人票の見方」「面接で聞かれたこと」など大事だけれども漠然とした質問が並ぶという。そのときに、「求人票のここの部分を絶対見て!」と実物を目の前に出して熱く説明してくれるのは、つい先日内定をもらった先輩だからこそである。先輩は卒業したら社会人になる。それは高校生にとっては「大人」であり、少し遠い存在。進路が決まっているけれども同じ学校にまだ通っている先輩は、最も旬の相談相手ではないだろうか。 進路トークの成果は、予想した以上にはっきり現れた。「進路トークのあとで企業見学に行きましたが、企業の方に福利厚生のことなど自ら進んで細かな内容を質問する生徒も。これまでにはあまりなかったことなので驚きました」と松村先生。また、実際に2年生、翌年には3年生の担任として進路トークに関わった石川政靖先生は、「2年生の12月ごろの進路意識といえば『まだまだ先のこと』という感進路指導実践を磨く! 普通科編図4 「進路トーク」後の2年生の行動の変化(2015年度/N=158)※抜粋図5 「進路トーク」後の2年生の感想● 自分の勤めたい会社へのこだわりが強くなった。絶対に行きたい!!ととても思った。● 語り合いをした後は、クラスメートが進路について真剣に考えるようになっているので、周りに差をつけられないように勉強をがんばるようになりました。あとは、みんなと進路の話ができるようになりました。● 気になる企業をインターネットで調べて、資本金など細かいところを見るようになった。● 進路のことを真剣に考えるようになった。自分に合った仕事に就けるか不安になった。進路先を見つけなければという焦り。● 部活を始めた。● 給付型奨学金について、対象となる条件について教えてほしい。親とも話し合い、考え方の違いもわかってきたので、きちんと話し合って決めようと思った。クラス全体の進路意識が高まり行動が変わる生徒も成果■ その行動をした■ その行動をしたのは「進路トーク」がきっかけだった「進路トーク」の様子。最初はぎこちないグループもあるが、数分もたてば打ち解けてくるという。86.186.758.275.352.573.466.533.546.844.3進路に関する話をした(親・教師・3年生・友人・その他)求人票等を見に行ったインターネットで企業情報等を調べた学業成績を意識するようになった授業等に真剣に取り組むようになった452017 DEC. Vol.420

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