キャリアガイダンスVol.420
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492017 DEC. Vol.420も、全体から見れば必ず右肩上がりに成長している」という先生の体験談を、今でも鮮明に記憶しています。 一方、推薦で先に受かった生徒に対しては、周囲への配慮を促すことも大事です。今からは不安になる生徒が増えるということを伝え、教室環境を整えていく。受験もクラス全体で一致団結して戦うという雰囲気づくりをぜひしたいところです。特に、このケースのように一人で不安になっている生徒には、ホームルームなどで今感じていることをみんなで話す機会を作れるといいと思います。そうすると、受験を前に不安になっているのは自分一人ではないということがわかりますし、お互いががんばってきたことを確認し合うこともできるでしょう。みんなで支え合う雰囲気づくりに、ぜひつなげてください。このようなケースで、スクールカウンセラーならどう対応されるのか。先生たちとの協力の在り方などもお伺いしました。 この時期のこのような悩みはよくあるケースです。漠然とした応援では響かない可能性が高く、できるだけ先の見通しを具体的に行うことによって不安解消をしていこうと考えます。 そのためには、まず担任の先生に、これまでどういう姿勢でがんばっていたのか、努力の過程を具体的に生徒にフィードバックしてもらったり、教科の先生からも情報収集を行ったりします。直前の模試の結果が不安の引き金にもなっているようなので、内容を改めて分析し、具体的にどうしていくかを、本人と一緒に話をしながら支援します。それによって、家庭での時間の使い方などを見直したり、教科の先生や担任などにも本人から話ができるように勧めたりもします。メンタル的なことでいえば、受験対策は単に時間をたくさんかけることよりも、どれだけ質をあげていくかが大事というような話をすると安心する生徒が多いようです。ガイダンスカウンセラー 木村佳穂さん2005年、岩手大学大学院教育学研究科修了後、青森県と栃木県で6年ずつスクールカウンセラーとして勤務。2017年3月まで、早稲田大学教育・総合科学学術院で非常勤講師も務める。これまでやってきたことを承認し、先の具体的な見通しで不安解消をスクールカウンセラーの視点 日直が記入する学級日誌に、自分が困ったり迷ったりして気になっていることを交換日記のように記入してもらいます。「間に合わないんじゃないか」、「どこにも受からないんじゃないか」など、みんなが書くことで、自分だけじゃないことを知ることにつながります。さらに私からも、焦るのは普通、みんな不安な気持ちと戦っているということを伝えます。2.計画を再確認 苦手なところなど、やるべきことをきっちり計画に落とし込む作業を生徒と一緒にして、他の人のことは気にせず、自分の学習を計画通り進めようということを伝えます。3.先に受かった生徒への指導 先に受かった生徒の振る舞いが、最後に受験する生徒の合否を左右することをしっかり指導します。 推薦希望者が増え一般受験の生徒が減る傾向にあるので、このような悩みをかかえる生徒は少なくありません。そんなときは、以下のように声をかけました。 「現役生は、浪人生と違ってこれからが一番成績が伸びていく時期。といっても、成績は一定で伸びていくわけではなくて、必ずスランプの時期がやってくる。もしこの時期にスランプならラッキーだよ。この時期のスランプを乗り越えられれば、急激に成績が伸びる時期がやってくるはず。そのときを楽しみに今はしのいでいくしかない」。「推薦で受かっていくのも一つの方法だけど、苦労して受験をして受かっていくのも悪くないよ。今は辛いことだらけだけど、この受験勉強の経験は必ず役に立つ」。このような声かけを通して、今置かれている立場をポジティブに考えられる方向へともっていければと考えています。受験勉強が辛くきついことはどう考えても変わらないので、その状況をプラスに考えることができればモチベーションも保てると思います。 受験を成功させる鍵は、体調管理と意志の力。意志パワーは、絶えず励まし続けないと衰えてくるので、相談を受けたときはどんなに忙しくても、本人の気が済むまで話を聞いてあげます。ピンチのシグナルが大きい子ほど、担任が本当に君のことを大事に思っているのだ、ということをしっかり伝え、思いっきり声援を送るのが一番、と思います。保護者からも、「先生、どうしたらいいんでしょう?」と電話がかかって来たりしますが、そんなときも、「結果はちゃんと出ますから、一緒にがんばりましょう」と支えます。担任は、決してオロオロしてはいけません。担任自身が意志の力を鍛えて、高いレベルを保っていないと。そんな教師が差し出す言葉は、その子にとって意味があると、私は信じています。教師自身が強い意志をもって応援!(和歌山・県立高校 匿名希望)最後まで伸びる!を伝える(神奈川・県立希望ケ丘高校 柳澤 隆規先生)このコーナーでは、毎回、ケーススタディへの「私ならこうする」をwebアンケートで募集しています。また、こんなケースを取り上げてほしいというご希望もあわせてどしどしご応募ください。http://souken.shingakunet.com/career_g/case/

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