キャリアガイダンスVol.420
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 常盤高校は埼玉県で唯一の看護に関する専門高校だ。看護科3年と専攻科2年を合わせた5年一貫教育を行っており、すべての課程を修了すると看護師国家試験受験資格が得られる。国試を突破し、卒業後は、助産師や養護教諭などを目指して進学する一部を除き、ほとんどが看護師として巣立っていく。 看護師養成機関には大学や3年課程看護学校もあるが、同校のように早期から専門的に学ぶ5年一貫課程は、看護師への最短ルートとなる。教育課程や進路に特殊性のある同校だが、島村圭一校長はあくまで「高校」である点を強調。キャリア教育の重要性は、普通科や他の専門学科と変わらないという。 「目標が明確な生徒たちに、早期から専門的な教育を行うのは意義のあることです。一方で、高校入学時点ではまだ人間的に未熟な面もありますので、そうした基礎的な力もしっかり身に付けさせる必要があります」 同校が目指すのは、単に看護師国家試験に合格させることではなく、「確かな知識・技術と豊かな人間性を兼ね備えた看護のスペシャリスト」を育成することだ。そのため、スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)指定をてこに、2014年度から「5年一貫教育の特徴を生かした看護専門職者を育成するための先進的なプログラム開発」をテーマとした改専門性の向上だけでなく人間的な成長を重視社会に出てからも学び続けられる力を育む革をスタート。専門科目を中心とした学校全体に関わる改革であり、普通教科も含めたすべての教員が課題別チームに分かれて取り組んでいる。 この改革で掲げている大きな目標は、医療技術の進歩や環境変化が著しい社会において看護師として活躍していくための、「生涯学び続ける力」の育成だ。研究推進委員事務局長を務める守屋有紀先生はこう語る。 「看護師国家試験に合格させることは本校の大きな使命で、そのための指導を継続して行ってきました。しかし、せっかく努力して看護師になっても、数年で離職する卒業生もいます。短期間で看護師として社会に送り出さなくてはいけないからこそ、卒業時点で学ぶことを終えるのではなく、その先も自ら学んでいく力を付けさせたい。改めて国家試験合格の先に目を向け、どんな看護師になってほしいか、長く活躍するためにはどんな力が必要かを議論し、『生涯学び続ける力』の育成という目標を掲げました」 「生涯学び続ける力」を支える要素として、従来から同校が大切にしてきたことを含めて整理し、「豊かな人間性」「確かな知識・技術」「科学的思考・判断力」という3つの柱を設定。それぞれの育成に向け、プログラムの充実を推進している(図1)。 1つめの「豊かな人間性」に関する代表的な取り組みは、高校1学年〜専攻常盤高校は看護科単独の専門高校。教育課程は独特ですが、人材育成の視点は決して特殊ではありません。リアリティを追求するプロジェクト学習、「揺れる」生徒への進路指導、ポートフォリオを活用した異学年交流…普通科や他の専門学科の高校が、そのまま参考にできる取り組みも多いのではないでしょうか。取材・文/藤崎雅子先進校に学ぶキャリア教育の実践リアルな「現実」に立ち向かう学習で生涯学び続ける力を育む常ときわ盤高校(埼玉・県立)プロジェクト学習 ポートフォリオ ルーブリック 異学年交流 地域社会522017 DEC. Vol.420

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