キャリアガイダンスVol.420
56/66

1999年岡山市立岡山工業高校、同岡山商業高校募集停止天神地区に岡山後楽館中学校・高校開校高校は3部定時制、単位制、総合学科高校として誕生2000年旧専門学科廃止。旧商業高校校舎を閉校2002年3部制から一括募集へ切り替え旧工業高校校舎を閉校2010年コミュニティスクール指定2012年全日制へ移行新校舎が完成し、現在の南方地区で新年度スタート2015年上林栄一校長、室貴由輝主幹教諭赴任総合的な学習の時間の探究テーマを「岡山市」に絞る2016年総学での地域の学び本格化2017年西川水族館、らっかんランチ食堂スタート1年次:「岡山」をテーマにした課題研究を行い、地域課題と出会いながら研究手法を身に付ける。大学教員を講師に、アンケート、フィールドワーク、プレゼンテーションについて学んだのち、市役所各課職員から聞いた市政の現状と課題に対し、解決方法を提案する。12月からは次年度に取り組むテーマを決め、研究計画を立てる。2年次:テーマごとのゼミに分かれ、グループ研究を行う。引き続き地域課題をテーマにする生徒が多い。1月に中間発表を行い、年度末には研究レポートを書く。3年次:6月の最終発表会の後、個人での論文作成に入る。10月末を締め切りとし、振り返りを行って終了する。 1999年、市立定時制高校の発展的解消により生まれた岡山後楽館高校は三部定時制、単位制の総合学科、そして全国初の併設型公立中高一貫教育校としてスタートした。校地や制度の変遷を経て(図1)、今は岡山駅のほど近くに位置している。 「何もかも前例のない学校でした。時間割がみんな違う、出席をどう取る? 行事は…? 手探りで学校を作ってきました。全日制に移行した今も制服、チャイムはなく校則は〝社会のルールとマナー〞。多様な生徒を受け入れる学校でありたいし、自主自律の旗印は今後も変えません」と快活に話すのは上かみばやし林栄一校長。開校初年に教諭として赴任し、次は教頭として、そして3年前に校長として戻ってきた。この間、県立博物館や、県庁知事部局での県史編纂、市役所などで地域づくりに携わった経歴の持ち主だ。同時に主幹教諭として着任したのが室むろ貴たかゆき由輝現教頭。室教頭は県立矢掛高校で学校設定科目「環境」「やかげ学」を立ち上げ、ESDや地域・学校協働の先進例を作ってきた人物。2人の着任により、持続可能なまち、ひと、学校という視点をもった取り組みが始まった。 1年目の15年度にまず手をつけたのは総合的な学習の時間。それまで自由テーマで行っていた課題研究を岡山市に関連するものに変更した。 「岡山市立唯一の高校なのにどうしてもっと岡山市とやらないのか。校長がいろんなパイプをもっていることを生かしたいと思いました」(室教頭)。当時、室先生が所属していた1年次で12月から始まった課題研究。オリエンテーションでは地域課題に取り組む意味を生徒に、そして先生たちに向けてプレゼンした。社会の変化を背景にした高大接続改革や他県の状況も踏まえ、持続可能な社会を目指し、変革を作り出せる人が求められていること。自身が幸せに生きていくために作りたい社会、自分自身は?と問いかけたのだ。 背景には、生徒に課題意識をもたせたいという思いがあった。室教頭は「地方創生が叫ばれていても、自分たちが地方に住んでいるという意識がない。衰退を身近に感じ、生活の中に課題がある田舎の学校の生徒と違って、課題意識をもつのは難しいと感じました」、上林校長は「高校は全県、中学は全市が学区なので田園地帯に「岡山市」を課題研究のテーマに地域創生が叫ばれ高大接続改革が間近に迫る今、これからの地域と学校の在り方はどうあるべきか。「まちなかのふるさと教育」を推進する管理職と主幹教諭のお三方に、地域と学校運営のビジョンを語っていただきました。持続可能な社会と社会の形成者を育てる「まちなかのふるさと教育」取材・文/江森真矢子岡山後楽館高校(岡山・岡山市立)第14回図1 岡山後楽館高校のあゆみコラム1 総合的な学習の時間562017 DEC. Vol.420

元のページ  ../index.html#56

このブックを見る