キャリアガイダンスVol.420
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ますかわ・ひろゆき●1976年生まれ。中京大学大学院情報科学研究科博士後期課程修了。博士(認知科学)。中京大学情報科学部助手、静岡大学教育学部講師・准教授、同大学院教育学研究科准教授、東京大学大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF)協力研究員などを経て、2017年より現職。専門は、学習科学、認知科学、教育工学。知識構成型ジグソー法などの協調学習やICT学習環境等の実践研究で知られる。編・共著に、『教育工学選書Ⅱ学びのデザイン:学習科学』(ミネルヴァ書房)、『21世紀型スキル―学びと評価の新たなかたち』(北大路書房)など。東京大学高大接続研究開発センター 協力研究員、静岡大学大学院教育学研究科附属学習科学研究教育センター 学外研究員。聖心女子大学文学部教育学科 教授益川弘如 人が「よく学んだ」「学んでよかった」と心から感じられる瞬間とは、どういうときでしょうか。 学習科学、認知科学の立場からすると、人と対話し、自分自身がもつ既存の知識や学ぶ力を使いながら深く考えた末に、事実の概念や根拠がわかるとか、事柄同士のつながりがわかるとか、そういった概念的理解や構造的理解と言われる「深い学び」にたどり着いたとき、人は「よく学んだ」「学んでよかった」という実感をもつのだと思います。 仮に試験で正解を導き出すことが学びの目的だとすれば、授業はいかに効率的に知識を教え込むかが問われることになります。それで生徒は教わったつもりになったとしても、自分自身の学ぶ力を使っていないため、試験が終われば忘れてしまう知識になりがちです。もちろん、多くの先生方は、こうした教え込み型の授業に問題があることに気付いています。そのため、次期学習指導要領において「何を知っているか」ではなく、「何ができるようになるか」を重視していることや、アクティブラーニング(主体的・対話的で深い学び。以下AL)による授業改善の必要性についても一定の理解を示されていると思います。 一方で、型の導入が先行した観のあるALには、残念ながら落とし穴があることも、多くの方が指摘している通りです。特に心配なのは、「主体的・対話的」という部分にとらわれ過ぎる傾向があること。授業研究の場でよくあるのが、「活発な話し合いがなされていたか」という見た目については皆さん注目するものの、「その単元の本 「深い学び」の鍵となる教科の特質に応じた 「見方・考え方」取材・文/堀水潤一 撮影/平山 諭「何を知っているか」から「何ができるようになるか」へ。資質・能力を育むため、次期学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」が強調されています。なかでも、学びを深める鍵となるのが、各教科の特質に応じた「見方・考え方」であると答申には明示されています。それは、一体どういうことか。どう授業に落とし込めばいいのか。協調学習等の実践を通じて、「人が学ぶとはどういうことか」を研究している認知科学、学習科学の専門家、聖心女子大学の益川弘如教授に伺いました。「深い学び」に至ったとき人は学んだという実感をもつ82017 DEC. Vol.420

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