キャリアガイダンスVol.420
9/66

うまく練られた協調学習では、「友達と対話することで考えを深めることができた」「新しい考えを生み出せた」など、「よく学べた」という実感をもてる構造をしています。そうした経験の積み重ねが、「このように学んでいけば、よりよく学べる」というイメージをもち続け、育むことにつながります。まずはALを、そうした観点で捉えていただけたらと思います。 そのうえで、注目していただきたいのが、各教科の特質に応じた「見方・考え方」についてです。 2017年3月公示(高校は年度内)の学習指導要領のベースとなる、昨年12月にまとめられた中教審答申には、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」について、P11の図3で抜粋した部分をはじめ、多くの言及がな質的な部分を生徒は捉えていたか」という視点が疎かになりがちなことです。 その結果、耳にするのが、「ALは手間の割には効果がない」「結局、教え込んだ方が速い」という意見や、「話し合い活動は取り入れたいが、生徒のレベルを考えたらとても…」といった悲観的な発言です。後者の場合、どういう授業になりがちかと言えば、話し合い活動をさせたとしても形式的で部分的。すぐに教員のまとめが始まり、根拠や概念や関連性といった、生徒自身が考えてほしいことまで解説してしまうのです。このとき生徒の頭に生じるのは、「先生の解説だけ聞いていればいい」「先生の言うことを覚えることが勉強だ」という概念でしょう。 しかも、こうした形式的な話し合い活動は、コミュニケーション能力などの資質・能力を単に使っているだけで、新たに育む機会になっているわけではありません。あくまで覚える授業の延長であり、考える授業に転換されていないのです。 私が取り組んできた知識構成型ジグソー法などの協調学習でも、生徒が知識を構築していくうえで、弊害となる教員の動き(図1)が生じることがあります。大切なのは、ある型で学んだとしても、その型をベースに、豊かな学びにつなげていくこと。事実、されています。(※中学校の各教科等における「見方・考え方」のイメージについてはP14も参照)。 答申の文言を借りれば、「見方・考え方」とは、「各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方」のことですが、私なりに補足すれば、以下のようになります。すなわち、子どもたちが学ぼうとしている教科の内容について、単に覚えるとか、そのまま受け入れるのではなく、自分で考え、知っていることとつなぎ合わせて、作り上げていく。そういう学びの過程を表現しているもの。 実際、研究者を含め、教科の専門家は、その領域に関する知識を有しているだけではありません。それぞれの事象の意味や背景、つながりなど、領域特有の「見方・考え方」に基づいて深く考察したうえで、教材研究をしたり、議論したりしているはずです。そうした豊かな学びのプロセスを、授知識構築環境に弊害となりそうな教員の動き図1※『21世紀型スキル―学びと評価の新たなかたち』より抜粋● 生徒自身でつくってほしい知識を「教授」してしまう ・ 最初に1人の意見をクラス全体に発表してしまう。 ・ 資料に答えを載せてしまう。 ・ わかっていなそうなところに教師が回っていって過度な支援を行ってしまう。 ・ 大事なポイントを全体に向けて解説してしまう。●「対話の型」を優先してしまう ・ 司会役や一定のやり方で各自が発表するなど対話に過度なルールを設けてしまう。 ・ 聞く態度や伝え方などを最初に固定してしまう。 ・ 考えながら話すよりわかった結果の発表を優先してしまう。● 授業の「進行効率」を優先してしまう ・ 事前に計画した時間を優先してしまう。 ・ 最後の発表を「期待する答えを出していたグループ」に限定してしまう。 ・ 最初に全部の部品資料やワークシートを渡してしまう。「見方・考え方」を働かせることで実現する「深い学び」せっかくの協調学習もこれでは…言われたことを覚えるだけでは、 「学んでよかった」には届かない益川弘如教授(聖心女子大学)「見方・考え方」を働かせる授業92017 DEC. Vol.420

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る