キャリアガイダンスVol.421
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112018 FEB. Vol.421安を感じる先生方もいます。しかし、他者と意見を交わし、根拠を述べるAL型授業の大前提として、知識の裏付けが欠かせません。知識を得るための講義型の授業も今まで同様に必要なのです。 ただし、現在でも先人の膨大な知識はインターネット上にあふれており、丸暗記しなくてもスマホで検索すれば知識は簡単に得られる時代です。検索できる知識の習得はさほど重要ではなくなってくるということです。 保護者よりも若い年代の先生方にとって、保護者と対峙するのは楽なことではないと思います。私自身、30代の頃までは保護者会は辛いし、できれば早く終わってほしいと思っていました。40代になってようやく保護者と同じ目線で話せるようになり、50代でやっと楽になってきました。 若い先生にアドバイスするとすれば、生徒たちと長い時間、深く接している事実を基に、生徒たちを理解していることを保護者に伝えられればよいと思います。そのうえで、生徒の良い面をどう伸ばしていったらよいかを一緒に考える姿勢を見せることだと思います。 高校生にもなれば生徒たちは自分のことはわかっています。わかっていながら思うようにいかないときもありますが、そこに教員や保護者の意向を押しつけて変えようとしても、本人が納得できる人生は送れません。思考力が必要とされている時代であるのに、大人の考えが入ってくるほど、自分で考えなくなるものです。昨今、過保護や過教育が増加傾向にあるように感じますが、それは生徒の自立や思考力の育成に反比例していきます。 新テストへの移行や教育改革について、その過渡期の渦中にいる我々教員が、保護者に正確に伝えていくことは容易ではないかもしれません。そもそも、未来とは予想が不可能なものです。保護者の時代とは大学の学部も比較にならないほど多様になっており、選択肢が広がった分、決めることが難しくなっている時代です。だからこそ、「普遍的な力」と「自分が何をしたいかを考える力」が必要で、そのことを保護者に伝えればよいのです。 例えば、生徒から「自分はどの大学(学部)がいいでしょうか?」と進路の相談をされたら、教員は答えを与えなくてもいいのです。その代わり「君はどう思っているの?」と思考を促すように問うてあげることです。進路指導とは志望校というゴールに向かって、どうしたらその学校に入れるかの手ほどきをすることと考えられていた時期もありますが、そもそも志望校選びがゴールではありません。そこで何を学び、社会でどう役立てるかです。ゴールが見えているという考えを取り払ってあげて、自分軸で進路を見つけられるよう「指導」ではなく「俯瞰して問い続けてあげる」ことが、今の教員に求められていることだと思います。それは保護者も同じです。 学びについても、進路についても、生徒が自分で考える力を育めるよう、教員と保護者が協働できる関係性を築いていけるとよいのではないでしょうか。大人の考えが入ってくるほど、子どもたちは自分で考えなくなる『2020年の大学入試問題』(講談社現代新書)『2020年からの教師問題』(ベスト新書)教員と保護者は生徒の長所を伸ばすための共同支援者「自分はどうしたいのか?」を生徒に問い続けることが役割2020年からの教育改革に対して、何がどう変わるのか、教員はどう変わることが求められているのかをわかりやすく示している。2020年を見据えた石川先生の著書人生100年時代の高校生と保護者の未来意識Interview 教育現場の“今”を、保護者にどう伝えるか? 石川一郎

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