キャリアガイダンスVol.421
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2番目に好きなこと を仕事にしてよかったです。テレビ局員/真船佳奈 今、私はテレビマンという仕事をしていますが、高校時代は自分がそんな仕事をするなんて、想像もしませんでした。当時はいろいろ好きなことがありましたが、一番は絵を描くこと。イラストレーターや漫画家など絵を描く職業を目指して美術大学に進学する選択肢もありましたが、好きという理由だけで一つの道に絞って進む勇気がなく、なるべく卒業後の選択肢がたくさんありそうな大学に進学しました。ちゃんと将来を考えているのかいないのかよくわからない選択でしたが、文学部で国文学を専攻し、これまた将来の選択肢を増やしておこうと教員免許も取得しました。 就活の時期を迎え、何になろうかなと考えたとき。子どもの頃から人を楽しませたいという思いがベースにあったので、絵描きの次にやりたいと思っていたエンタメ産業系の企業を40社以上受けました。しかし、結果は惨敗。就活に疲れ果て、軽い興味から、女の子が集って恋愛エピソードを話す某トーク番組に出たんです。その番組は1時間半ほど収録するのですが、実際に番組として放送されるのはわずか30分。大部分をカットして本当に面白いシーンだけしか使わずに、短いながらもギュッと凝縮した時間にまとめあげるのが、とても贅沢だと感動しました。人を楽しませる究極の形だなと。この時の経験をきっかけにテレビ局に入りたいと本気で思うようになったんです。 だからテレビ東京に受かったときはすごく嬉しかったですね。入社3年目のときに制作局に異動となり、あこがれのバラエティ番組の制作に関われるようになりました。最初は誰もがAD(アシスタント・ディレクター)からスタートします。ADは簡単に言うと一番下っ端で、番組制作に必要な細々としたことを全部やらなくてはなりません。その努力が報われないこともざらにあります。「なぜこの仕事を選んでしまったのか」と何度も思いました。でも、ADがいなかったらどんな番組も絶対につくれないので、その番組制作の土台を支えているという自負があったから続けられたのです。 そのAD時代のエピソードを漫画にしたのが昨年10月に出版した『オンエアできない! 女ADまふねこ(23)、テレビ番組つくってます』(朝日新聞出版)です。一冊の本として出版できたことで、また仕事の幅が広がりそうなのですごくよかったです。何より「絵を描く仕事をする」という夢が叶ったのがとても嬉しいです。 この本はテレビ東京に就職してADを経験していなかったら出版できていません。1番なりたかった絵描きの道ではなく、2番目のテレビマンの道を選んだからこそ夢が叶ったわけです。結果論ではありますが、絵がどんなに大好きでも、決してうまいわけでもない私の実力では、絵描きにはなれていなかったでしょう。だから私の場合は、あえて一番好きなことを仕事にしなくてよかったと思っています。 自分の一番好きなことは変わる可能性もあるし、高校を卒業してからの方が人生は長いです。だから高校生の皆さんは将来の道を絞り込みすぎないで、なるべく多くの可能性を残すような選択をするのがよいのではと思います。私の場合は、大学に通うことが将来を考えるうえでとても大事な時間になりました。テレビ局を目指す際に大卒が必須条件だったこともあり、進学をしてよかったなと思っています。選択肢を増やすという意味で、大学で勉強することを私はお勧めしたいです。最終的な決断は大学を卒業してから決めても全然遅くはないと思います。希望の道標取材・文/山下久猛撮影/竹田宗司1989年福島県生まれ。中央大学文学部国文科を卒業後、2012年株式会社テレビ東京に入社。アニメ事業部勤務を経て、入社3年目で制作局に異動。バラエティ番組のADを経験し、『テレ東音楽祭』チーフAD、『ひるソン!』『昼めし旅』などのディレクターを担当。番組内の挿絵やキャラクターデザインも手がける。2017年10月にAD時代の経験を漫画化した『オンエアできない! 女ADまふねこ(23)、テレビ番組つくってます』(朝日新聞出版)を上梓。同年、BSジャパンに出向。現在は編成部で番組編成に従事している。ツイッターにて新作漫画も更新中。まふね・かな●twitterアカウント @mafune_kana32018 FEB. Vol.421

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