キャリアガイダンスVol.421
30/66

 鉄道従業員養成を目的として開校し、今年度で120周年となる岩倉高校。2014年度から男女共学化し、現在は普通科・運輸科の2学科体制で就職の他進学にも力を入れている。 改編や共学化により入学生徒が多様化するなか、今年度、2学年が学年独自の取り組みとして「保護者と楽しく学ぶ会」(以下「学ぶ会」)を始めた。これからの教育改革や予測のつかない未来社会に対応していくため、学校側から一方的に情報提供するのではなく、保護者と教員が共に学び、お互いの情報や考えをシェアする場を目指している。 「近年、本校に若手の教員が増えているなか、人生経験豊富で『育てのプロ』である保護者から学ぶことはたくさんあります。一方で教員も『教育のプロ』の自覚をもって、双方が本音で語り合える関係を築き、これからの難しい時代を乗り越える生徒を共に育てていきたいと考えています」(2学年主任・松本祐也先生) 「学ぶ会」立ち上げにあたって、学年団でプロジェクトチームを結成。年度始めの保護者向け進路ガイダンスで「学ぶ会」開催を宣言するとともに、それに対する意見や要望について保護者にアンケートを実施した。約8割が「学ぶ会」参加に前向きな回答をしており、進路や学校生活について「話したい」という声が多くあがった。 「実は、保護者の皆さんはもっと教員と語り合いたいと望まれているのだと実感しました」(松本先生) 1回目のプログラムとして、5月にキックオフミーティングを開催。荒天にもかかわらず保護者30人が参加した。学校側からの「学ぶ会」趣旨説明後(図1)、教員を交え、クラス横断の5グループに分かれて授業や就職などをテーマにディスカッションを実施。その内容は、各グループ代表保護者が発表し、全体で共有した。対話的な授業の手法も取り入れており、「本校の授業の雰囲気や楽しさも同時に知ってほしかった」と松本先生はいう。取材・文/藤崎雅子「育てのプロ」と「教育のプロ」が本音で語り合う場づくり教育改革・社会変化をふまえたディスカッションなどを実施進路指導部長星 重光先生2学年主任松本祐也先生図1 「保護者と楽しく学ぶ会」  キックオフミーティング資料(一部抜粋)  続いて7月、保護者から要望の大きかった上級学校訪問バスツアーを開催し、大学と専門学校を1校ずつ訪れた。職員から教育内容や入試方法について説明を受けたり、在校生と懇談したりした。保護者の時代と大きく変わっている実態をリアルに知ることができた点が好評だったという。 さらに、2月には、自然やフードロスなどのテーマで「大人の社会科見学」を計画。家庭での会話を通じて生徒の視野を広げることが期待される。3学年となる来年度も、進路を中心とした内容で「学ぶ会」を継続する予定だ。 「保護者と教員がつながることで、意見の食い違いによって生徒が混乱する保護者の声保護者は教員とこんなことを話したい●親の方が社会の変化についていけないので、進路を考えるのに必要なこと、「今」を知りたいです。●家だとあまり学校での出来事を話さないので知りたいです。●大学について、仕事について、視野を広げたい。●就職活動に必要なもの、親はどうフォローすればいいのか。参加したい企画について・・・●教員も参加型の企画 ●今の社会状況を知る機会保護者会アンケートコメントより1897年創立/普通科・運輸科/生徒数1169人(男子901人・女子268人)/進路状況(2017年3月実績)大学151人・短大12人・専門学校64人・就職192人・その他14人 学校データということなく、より適切な進路選択を可能にしていきたいと考えています」(進路指導部長・星 重光先生)和やかなムードで進められたキックオフミーティング。大きな社会変化を見据えて生徒の進路を支援していくために、保護者と教員で共に学ぶ必要性が語られた。保護者はもっと教員と話したがっていた。生徒の未来に向け、共に学ぶ会を定期開催へ302018 FEB. Vol.421

元のページ  ../index.html#30

このブックを見る