キャリアガイダンスVol.421
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希望者を対象に、チェルノブイリ原発事故からの復興を学ぶベラルーシ研修、先進的な環境・エネルギー対策を学ぶドイツ研修、国連本部を訪問する米ニューヨーク研修などの海外研修を実施している。異なる考えをもつ地域住民、東京からやってきた東京電力幹部、地元出身の東京電力社員などが登場する劇では、怒りを爆発させて相手につかみかかる場面も。原子力探究班の生徒がファーマーズマーケットを開催。授業外の時間も使って1人で始めた活動だったが、賛同の輪が広がり、他学年も含む十数人が協力した。探究を深めていくための手がかりとして、探究の流れや各ステップのポイント、ワークシートなどが盛り込まれている。リングバインダーに綴じて活用し、探究班独自ワークシートや活動記録などを挟み込んでいく。未来創造探究未来創造探究ノート演劇海外研修学校資料より作成。単位数は2017年度入学生の場合前半、各探究班の分野について班全体で学びながら、グループあるいは個人で個別テーマを設定。それぞれが情報収集、実践、まとめ、発表、振り返りという探究活動を繰り返し、スパイラル状に発展させていく。その際、机上の研究に終わらず、地域での実践を求めているのが特徴だ。そして、3年次では各自が論文としてまとめ、自治体や関係省庁などに向けて探究成果を発信する。 例えば、ある生徒は、地域住民と作業員に分断されたコミュニティの再構築につながることを目指し、交流の場となる「ファーマーズマーケット」を企画。耕作放棄地を借りて自ら育てた野菜を使って商品開発し、また地域の農家や企業にも声をかけ、実際にファーマーズマーケットを開催し、多くの人を集めた。そうした実践を通じて「安全」と「安心」の違いについて考察を深め、地域に対する提言を行った。 探究学習にはほぼすべての教員が関散、コミュニティの分断と対立、地域に対する偏見や風評、人口減少や少子高齢化の加速など一筋縄ではいかない多様な問題がある。そんな問題の複雑さを、異なる価値観や意見をもった人々の対話で構成する対話劇によって、ありのままに表現する。明確な「悪者」は作らない、安易な解決策は出さない、がルールだ。 例えば、ある班は、町役場職員と地域住民が、共通の友人を交えて立ち話する場面を劇にした。役場職員は予算の問題もあって思うように復興を進められないことを悩むが、そんな現状にいらつく地域住民は不満をぶつける。 「異なる立場や考え方を理解するのはなかなか難しいことですが、演劇のセリフとして考えたり役になりきって演じたりすることで、その人の感情や考え方を疑似体験できます。また、対立する場面も仲間同士で演じることで、相手を理解しようとする感覚をつかみやすいようです」(企画研究開発部主任・對馬俊晴先生)  劇では、対立したりわかり合おうとしたりのやりとりから、その背景にある困難さや苦悩とともに、問題の複雑さが浮かびあがる。 「同じ地元住民のなかにも多様な立場や事情があって、それによって問題の見方・考え方は違います。そうした複雑さにも目を凝らしていくことで、本当の問題が見えてくるものです。『演劇』を通じて物事の本質をつかむ入口に立つことができ、2年次からの課題解決に向けた動きにつながっていきます」(丹野校長) 2・3年次「総学」の授業「未来創造探究」では、各自がテーマをもって復興に向けた地域課題の解決に取り組んでいく。原子力災害によって失われた地域コミュニティの再構築を考える「原子力防災探究」や、福島の復興につなげる今後の農業とビジネスを考える「アグリ・ビジネス探究」など6つの探究班があり、クラスを超えて編成される。活動内容は班ごとに異なるが、全生徒に配布する同校オリジナルのテキスト「未来創造探究ノート」に沿って進めていく。 その大まかな流れはこうだ。2年次の外部連携で学びを深め自分の進路や生き方に繋げる各自がテーマをもって課題解決に向けて活動図3 未来創造探究の流れ復興に向けて複雑な地域課題を多面的に理解する復興に向けた地域課題解決の探究と実践復興に向けた探究成果発表と自らの進路実現ステップ1年生ふるさと創造学(産業社会と人間/2単位)2年生未来創造探究(総合的な学習の時間/3単位)3年生未来創造探究(総合的な学習の時間/3単位)授業名国内研修・海外研修(ベラルーシ、ドイツ、アメリカなど)教科学習論文作成● 演劇創作● JICAグローバルキャンプ● スキル学習● カタリ場テーマ設定・課題解決のための実践内容進路実現原子力防災探究メディア・コミュニケーション探究再生可能エネルギー探究アグリ・ビジネス探究スポーツと健康探究健康と福祉探究502018 FEB. Vol.421

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