キャリアガイダンスVol.421
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高校生活で養う課題意識・コミュニケーション力これからの推薦・AO入試指導見たい未来を一緒に作りませんか?〜大学から伝えたい先生方へのメッセージ〜本連載では、受験生の経験や志望理由、論理性やコミュニケーション能力を問う推薦・AO入試に向けての指導法を考えてきました。高大接続改革の進む今、これまで多くの大学が蓄積してきた推薦・AO入試の方式がさらに広がることが予想されます。大学が問うていること、問われている力を身に付けるための指導法、生徒の志望理由の引き出し方などをお伝えしてきた連載の最終回は、大学現場に身を置く藤岡氏からのメッセージです。最終回連載 3年間続いた本誌の連載では、推薦・AO入試では何が問われるのか、その対策や先生方の疑問への回答をお伝えしてきました。 現代は、「VUCA」すなわちVolatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)の時代と言われています。昨今の高大接続改革や大学入試改革は、推薦・AO入試で問う本質的な内容の評価に加えて、AIと共にある未来やVUCAの時代を生き抜く力も問う改革として定着しそうです。この改革の行く末が見えてきた今、本誌での私の役目は一段落だと思い、今回の寄稿を最終回といたします。 2015年当時、私は高校生を指導する立場でした。現在は、石川県金沢市にある北陸大学で経済経営学部教授として、大学生の指導をしています。教え子たちが大学を卒業し、企業や省庁に就職するさまを見て、思うこともあります。先生方が指導されてきた高校生が大学でどのような学生生活を送っているのかを限られたケースではありますが、語れる立場になりました。今回は、先生方に大学現場から見える実情をお伝えし、今後のご指導の役に立てていただければと思います。 推薦・AO入試ではさまざまな体験が評価されます。そのせいか、さまざまな体験をアピールする学生が多いのですが、体験した事実のみアピールするいわば自慢大会になっている感もあります。確かに、自身の轍をアピールすることは大切ですし、その行為自体が自己効力感を高めると心理学者のA・バンデューラも言います。 しかし、この連載で何度もお伝えしてきたように、大切なのは「体験・経験した事実ではなく、そのなかで何を信じ、想い、行動し、その結果何を得たのか」ということです。自分なりに得た教訓、気づき、知恵などの総体である価値観を自己認識することが、今後、学生たちが社会で直面するさまざまな状況や壁、困難に立ち向かう武器になります。 イチローや武井壮など有名なスポーツ選手は言葉が巧みなのもうなずけるでしょう。彼らは常に内省を繰り返し、不断のスキル向上に取り組んでいます。あらゆる状況で、うまくいく方法を再生し、失敗を回避するには価値観の言語化が有効です。この社会を生き抜く武器は思考方法だけでなく、どの思考方法を選ぶのか、なぜその方法を選ぶのかの根拠となる価値観にあります。 行動(Doing)、思考(Knowing)だけでなく、どう生きるかの価値観(Being)が重要であり、それが社会で生き抜く自分らしさ、つまり個性です。その多様な個性が集まればこそ、大学本来の目的である「答えがない問いについて、多様な視点で対話・体験を言語化できない学生求められる価値観(Being)562018 FEB. Vol.421

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