キャリアガイダンスVol.421
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ふじおか・しんじ●1975年生まれ 慶應義塾大学大学院修了。数学や生物の大学受験対策を教える塾講師を経て、大学院でキャリア教育の重要性に気付き、研究を開始。小学生から社会人までを対象とした現場指導経験を有し、推薦・AO入試対策、社会人基礎力の指導や教材・プログラム開発を大手大学受験予備校や高校・大学で行う。島根県立隠岐島前高校をはじめとし、行政と協業し教育を通じた地方創生に取り組み、現在、北海道から沖縄までの高校魅力化プロジェクトに参画、高校連携型の公営塾を運営。藤岡慎二北陸大学教授株式会社Prima pinguino代表取締役議論し答えを追究する過程で学ぶ」ことが可能となるのでしょう。 「どう生きたいのかという価値観は、大学で育めばよいではないか」と言われそうですが、自身の価値観に基づく進路選択を希望するのであれば大学では遅いのです。 高校では、ただ単に多様な体験・経験をさせるだけでなく、体験・経験を通じて行動、思考、価値観を言語化することが重要だと私は考えています。体験・経験を言語化する方法には、例えばSTAR法(Situation(状況・課題)、 Task(やるべきこと)、 Action(行動)、 Result(結果)の4つのポイントで経験を振り返り、整理する方法)があります。現在、大学でも研究実践中です。 自身の体験・経験から得たことを言語化し、学ぶあり方は、国家の思惑に縛られない、地方の自立やグローバルな社会で活躍する独立した個人を育む学びでしょう。 推薦・AO入試において、志望理由書は生徒と大学のマッチングを図るうえで重要な手掛かりです。しかし、今まで多くの生徒を教えてきて、気づいたことがあります。それは、高校生のときに考えた志望理由にかかわらず、しなやかに学習目的を変えられる学生の方が生き生きと学んでいることです。 なぜでしょう。若い学生にとって興味があること・学びたいことが数年変わらない方がそもそもまれかもしれません。新たな環境での多くの友人や教員との出会い、多様な知識や知恵に出会えば、興味関心が変わらない方が不思議です。自身がなぜ今これを学びたいのかを言語化できる学生が、学習意欲を維持・向上できることは想像に難くないと思います。 興味関心を言語化するとき、大切なことはやはり価値観です。価値観は何かを選ぶときの良し悪しの判断基準になります。つまりは価値観を明確にできる学生は、しなやかに学ぶ目的を変えられるということです。価値観を明確にしたうえでの学習は当事者意識を生み、主体性を醸成するのだと私は考えます。 では「価値観を明確にする」ということは、テクニックだけでできるものでしょうか。否、それだけでは難しいでしょう。なぜなら価値観を明確にするメリットや、そもそも価値観とは何か、それがどう行動や生き方に反映されるのかということは口だけでは伝えられないからです。昭和的な発想になりますが、それらを伝えることができるのはやはり大人の背中だと思います。 先述のA・バンデューラは自己効力感を生む要素の一つに〝他人の代理体験〞を挙げています。近くにいる大人、つまり先生や近くにいる地域の大人の価値観や、ワクワクドキドキが生徒に伝わります。多様な大人との出会いや、先生方自身が価値観を明確にし、ストーリーとして伝える場を作るとよいでしょう。先生方、その準備はできていますか? 誌面からは離れますが、もし、私たちの研究や取り組みに興味がある先生がいらっしゃれば、ぜひ、お声がけください。私たちは、出し惜しみはしません。  「見たい未来にまず自分がなる」(ガンジー)。見たい未来を一緒に作りませんか?高校時代から価値観の言語化を高校時代の志望をしなやかに変える学生が伸びる先生や地域の大人を価値観のロールモデルに高大接続・大学入試改革を共に研究しませんか572018 FEB. Vol.421

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