キャリアガイダンスVol.421
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授業で生徒に育みたい要素知識能力意欲・態度育みたい要素生活に必要な知識・ 選んで着るための知識(衣生活)、楽しく安全に食べるための知識(食生活)、人間らしく住むための知識(住生活)、消費社会を生きるための知識(消費生活)、支えあい・共に生きるための知識(保育や高齢者との関わり)など地元・日本・世界の生活の実態学んだ知識を活用する力・ 授業で得た知識を生かして、お弁当を作ったり、大学進学後の自分の暮らしを住まいの選択から生活費の算出まで含めて考えたりする他者と関わる力・ 座学での意見交換、チームで行う調理実習、乳幼児や高齢者とふれあう授業などを通して、多様な人と関わることを体験する生活の主体となる意欲/自己肯定感・ 生活面で親などに任せていることを、生徒がする側からとらえ直し、自分ならどうしたいか何ができるか考えたり、体験してみたりする違いを認めながら力を合わせる姿勢・ 生徒同士がお互いの価値観の違いを認め合いながら、結婚や育児の問題を話し合ったり、チームで一つの料理やお弁当を作ったりするそれが今・将来にどう生きる?自分の生き方を考える材料になる・ 過去の生活をとらえ直したり(家族が何をしてくれたかを含む)、今の生活を見直したり、将来の生き方を考えたりする材料になる社会のあり方を考える材料になる・ 生活に必要な知識に加えて、地元・日本・世界の生活の良い面や課題を知ることで、より暮らしやすい社会のあり方を具体的に考えられる今・将来のために知識を学ぶように・ 知識が役立つことを実感し、家庭科に限らずさまざまな知識を「今の生活や将来のために学ぼう」という姿勢をもてるようになる。知識と肌感覚の両面を生かせる人に・ 知識を活用しつつ、それだけに頼らず、人と関わって感じたことも大事にして、生活のあり方や社会に必要なモノ・サービスを考えていける自分たちらしい生活を形づくれる・ 家族やパートナーと暮らすとき、自分の考えをきちんと表明し、相手の考えも聞きながら、お互いにとって良い生活を考えていける社会を創っていく主体になる・ 仕事や地域活動において、生活者の視点をもちながら、どんな社会にするために何を生み出していくかを、多様な人と一緒に考えていけるの生活まで、時間軸では『自分の過去・現在・未来↓次世代』の生活までつなげられます。自分一人の未来ではなく、社会を創っていく主体として、皆と共に生きる未来を描いてほしいと思っています」 実際、生徒の視野は空間軸でも時間軸でも広がったことが、1年間の授業を受けたあとの感想からもみてとれる。 「将来についてとても考えるようになった。そのために今すべきことは勉強だと改めて確認できた。子どもは何人欲しい、こんな職業についてこんな生活をしたい、だから勉強しようと思うようになった」 「自分のこと、家族のこと、友達のことまでいろいろなことを考えさせられた」 「ほとんどの授業から親への感謝を学んだと思う。次は、自分たちが将来を担っていかなければならないことや、感謝の 生活について主体的な体験・思考を重ねると、生徒は、今までの暮らしが周囲に支えられてきたことを実感するという。 「どの領域の学習でも、授業の振り返りで『親に感謝したい』と書く子が出てくるんです。親御さんに反発していた生徒が、その親も必死だったことに自ら気付き、態度が変わったこともありました」 と同時に、今後はその「生活」を自分で形づくるという思いも強まっていく。 「家庭科で学んだことは、空間軸で言えば『自分↓家庭↓地域↓日本↓世界』気持ちを忘れず、これからの毎日を過ごしていきたいと思った」 「ニュースをみていると家庭科で学んだことに結びつくものが多く、自然に興味をもてた。自分の意見をつくることが得意ではなかったのに、当たり前のようにできるようになっていた。親との会話の中で、社会やこれからのことについて話せるようになったのは、とても嬉しかったし、大人の仲間入りが少しできた気がした」 家庭科の授業を通して「生き方のシミュレーションができた」と表現する生徒がいるという。永井先生はそんな授業の最終日に、いつも生徒にこう伝えている。今まで授業で体験・思考してきたことを、今度はあなたたちが自分の家庭や仕事の中で本当にやっていくんだよ。だから、 「これからは毎日が家庭科!」生徒はこう変わる生活面の周囲の支えを実感「社会を創る」側に向かう■ INTERVIEW――これまでの家庭科の授業で印象に残っていることを教えてもらえませんか?辻原「保育園を訪ねた授業です。小さい子の考え方が面白いなあ、と。自分もこうだったのかなと、昔の自分を眺めとるようで」松井「お母さんと赤ちゃんを招いた授業です。赤ちゃんは可愛いけど、お母さんは子育てで工夫や苦労もされていて。私も将来、子育てをすることになったらがんばりたい、と思いました」中澤「その授業でお母さんが『すごい大変やけど、すごい楽しい』と笑顔で語られていたのが、幸せそうで、すてきでした」小林「ゴーグルや手袋をしてのシニア体験の授業です。自分たちにはまだ遠いことだと思っていたけれど、将来こうなるんだと思ったら、高齢者の方に優しくせな、と自然に思えました」――永井先生はどんな先生ですか?松井「ずっとしゃべっているイメージがあります(笑)。でも、先生だけが話すわけではなく、皆で話し合う授業が多いんです」中澤「いつも私たちに問いかけてくる感じで。それぞれに考えてほしいのかなあ、と思っています」小林「質問をすごくしてくれるので、受け身にならんというか。一方的に教わる感じではなくて、皆の意見を聴いてくれます」――家庭科の授業を通して「何を学べた」「何が変わった」と感じていますか?中澤「こうした授業がなかったら、将来のことについては堅苦しい気がして、友達とあまり話さなかったと思います。皆のいろいろな考えを知れてよかったし、将来が楽しみになりました」辻原「どんな働き方やパートナーがいいかは、『都会に出るか』『地元に残るか』にも関係してくるし、それによって大学選びも変わるので、進路選択につながることも学べたと思います」松井「将来のことを考えるなかで、『大学に行くため』だけでなくて『その先の生活のために』『こうなりたいから』勉強をがんばろうと思えるようになりました。それがよかったです」問いかけられる授業で、将来が楽しみになった左より、小林玄征くん、辻原壮汰くん、中澤凜さん、松井楓さん612018 FEB. Vol.421

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