キャリアガイダンスVol.421
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92018 FEB. Vol.421校が目指そうとしている教育について理解いただくには、社会背景や高大接続の三位一体の改革についても知っていただく必要があります。 保護者に教育改革の説明をするにあたって、今の保護者はどんな人たちなのかを知っておくとよいと思います。私は私立の一貫校に携わってきましたが、保護者は大まかに3つの層に分かれていると考えています。 一つは、今の小学生の保護者世代の35歳前後、自身の文化形成が平成世代で、小学校から受験しているような方々です。勤務先の選択の際に、日本企業か外資系であるかは問わず、出身校ではなく「何ができるか」で採用されてきた人たちです。仕事で英語を使うことが当たり前で、実力本位のプロジェクトベースの仕事をしているケースが多いです。この層は今の教育に対しても感度が高いですが、数としてはひと握りです。その根拠とともに他者に説明できる表現力が必要不可欠となります。欧米の教育では普通に問われる、「I think〜,because…(私は〜と考えます。なぜなら…)」という思考と表現です。それを、自分の意見とは異なる仲間と共有して共に考え、正解が一つではない問いに対して、最適な答えを導き出す力が求められているのです。文部科学省が掲げる新しい学力の3要素「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」のことです。「新しい」と言っても今までなかったことではなく、「本質的な学び」や「普遍的な力」と言えるでしょう。 そのため、社会への入口である大学が変わり、大学へ入るための入試が変わるのです。必然的に高校での教育も変わらざるを得ません。保護者の方々、特に2020年の新テスト1期生に当たるこの4月に入学してくる新1年生の保護者の中には、「なぜよりによってわが子の大学入試の年に」と不安に思われている方も多いと思います。保護者の方々の不安を取り除き、学 二つ目は、世代としてはもう少し上で、今の中高生の保護者世代で日本企業の中でも海外進出をしているような企業にお勤めの方々です。自身とその親の世代は、日本が右肩上がりの成長を遂げてきた昭和の時代を経験、あるいは学生時代に目にしており、努力や忍耐をすれば報われるという体験をしています。世の中の変化に対して教育改革の必要性は理屈ではわかっているものの、本能では自身の生きてきた時代のやり方を肯定してしまうという層です。 三つ目は世代や生きてきた背景は二つ目の保護者と同様ですが、ドメスティックな企業などにお勤めで、これから子どもたちが生きていく時代の変化や教育改革の必要性がまだ理解未来を生きる上で大切な3つのポイントできていない層です。地域性などもあると思いますが、高校生の保護者ではこの層が大半で、教員にも多いのがこの層ではないかと私は感じています。 つまり、我々教員自身も保護者も実体験のないものに対し、どのように想像力を働かせるかが、保護者に教育改革を伝える際に大切になってくるのです。慶應のSFCでは学生を「未来からの留学生」と位置づけているそうですが、まさにその通りです。子どもたちを未来からの留学生と捉え、未来を生き抜ける力を育むために、未来社会をイメージし、その社会を生きる人として子どもたちに何が必要かを保護者に一緒に考えてもらうのです。「あなたならどう思いますか?」新しい学びではなく、本質的な学びが問われる実体験のないものに対し、どれだけ想像力をもてるか保護者や生徒、教員に対して、教育改革について説明する際に、石川先生が前提として語っているポイント。正解のない未来を生き抜くには「自分軸」をもつことが重要だが、自分勝手な軸ではなく、社会の状況や他者の考えを知ったうえで「自分とは何か」を導き出すことの大切さを述べている。今の世の中を知っている1自分と違う考えに出合う2自分を知る3未来は現在の延長であるため、未来をイメージしてこれからの社会に向き合うためには、今がどんな世の中で、何が起きているかの知識が必要。今まで通りの知識の習得は継続して重要。自分一人の知識や考えには限界がある。見識をひろげ、複眼的な視点をもつためにも、多様な人のものの見方や考え方に触れる必要がある。AL型授業はその意味でも有効。正解のない問いに対して、自分軸で自分なりの答えを導くために、①と②を踏まえたうえで、「自分は何者なのか」「自分は何がしたいのか」と、自分をつきつめていくことが求められる。人生100年時代の高校生と保護者の未来意識Interview 教育現場の“今”を、保護者にどう伝えるか? 石川一郎

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