キャリアガイダンスVol.421 別冊
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7Vol.421 別冊付録の量や深さが仮説構築や解決のアイデアに大きく影響します。しかし、そこが足りないということを生徒たちが自覚し、知的欲求への刺激となることも本プログラムの狙いです」と齊藤准教授は語る。実施高校では生徒に大きな変化 このプログラムは、本誌キャリアガイダンス2017年12月号でも紹介されているように、群馬県立桐生高等学校で実施されているのをはじめとして、川崎市立幸高等学校、沖縄県立八重山高等学校など、既に全国のいくつもの高校で実施されている。 その成果はどのようなものか。図2は、桐生高校におけるプログラム受講前後の生徒たちの意識の変化である。 主体的学習態度を構成する要素のうち、興味・関心、探究心、自己肯定感、自主性・率先性を取り上げ、1要素につき3つの設問を用意して、プログラム受講前と後の2回、7段階自己評価のアンケート形式で調査を実施したものである。 「興味・関心」は桐生高校の生徒は当初より高いため変化は見られないが、「探究心」「自己肯定感」で大きな伸長が見られる。 また、生徒たちの感想では、「一番驚いたのは専門家という意識をもつだけで視点が広がったこと」「『批判的』とは、自分の意思的な批判ではなく、『他に解がないか』を考える『批判』であることに気付けた」「『自由』を『小分け』することで、とりとめのなかった思考も論理的にすることができた」などのコメントが見られる。生徒たちが自分の成長を実感できた証左と言えるだろう。 「主体的学習者育成プログラム」の他の実施高校でも同様の結果が得られている。 探究学習で悩みを抱える多くの高校にとり、「主体的学習者育成プログラム」は大きな福音となるのではないだろうか。 桐生高校では「探究基礎」という科目の中で「学びの技法」という授業を行っています。この授業を進めるうえで、生徒たちがいかに「自ら問いを立てられるようになるか」が重要だと気付き、産業能率大学の「主体的学習者育成プログラム」を導入することにしました。 まず1学期に産業能率大学の杉田一真先生に、生徒を対象とした模擬授業を行っていただき、私たち教員がそれを見学しました。そして、2学期には見学した私たちが実践者となって1年生に授業を行いました。 私が行った授業は問題発見編でしたが、探究においてテーマを決めるのに役立つと授業をしながら感じました。例えば食事の写真をめぐる問題点の書き出しですが、出尽くしていると思っても、まだ別の視点から見ると問題が見えてきます。その点で、ある程度知識をインプットしたうえでさらに問題を見つけるという進め方が有効だと体験することができました。 授業の冒頭では、「主体的学習者育成プログラム」の目的をかなり強調しました。社会で求められている能力を身につけるためだ、ということを時間をかけて説明したわけですが、それがないと単に「面白い授業だった」ということで終わりかねないからです。また生徒が脱線してしまっても、目的が共有できているので、必ずそこに戻ってくるようにできました。 生徒たちは、真剣に取り組んでいました。真面目な生徒はもちろんですが、普段は授業中に活躍できていない生徒も周囲をうならせるような独特な視点で発言をしているのが印象的でした。 生徒たちの感想を読みましたが、想像以上に自分の考えたことを自分の言葉で書き込んでいます。しかも中身が深い。これには驚きました。また、普段は不真面目だと見えていた生徒が信じられないほど自分のことを分析していたりして、この授業から強い刺激を受けたことがわかります。このプログラムは本当に意義があると、教えた私たち自身が実感できました。 探究で身につけた知識や考え方は、実社会で役に立つはずですから、他の教科の授業や部活でも役立つものだと私は考えています。私自身はテニス部の顧問をしていますし、自分自身も試合に出ます。テニスの試合では、まず練習の時から相手を観察することが大切です。試合をしながら、相手がこういうタイプだから、こうやれば得点できるはずだと仮説を立ててから実践する。そして得られたデータを基に、試合中に修正していきます。これは探究学習や理科の実験と同じなのです。このように答えが決まっていない問題を解決する能力を、実は探究学習では身につけているのだと思います。群馬県立桐生高校教諭星野 亨先生あの生徒がこんなことを!生徒たちに想像以上の変化が生じました。図2 桐生高校の調査結果7.005.835.844.584.354.493.753.744.376.005.004.003.002.001.000.00興味・関心探究心自己肯定感自主性・率先性(N:27) ■ プレ調査 ■ ポスト調査 「探究心」や「自己肯定感」などに大きな伸びが見られる+0.83+0.61

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