キャリアガイダンスVol.422
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果により、前年度にコミュニケーションのトラブルが多かった学年も、目に見えて穏やかになってきたという。 ボランティア活動やSSTなどの具体策が効果を発揮している背景には、生徒を面で支える組織力が垣間見える。どの生徒も安心して学び成長できる学校づくりは、各教員の個人の力に頼るのではなく、さまざまな連携によって推進されてきたのだ。 同校ではかねてより週1回「支援会議」を開催し、個別の生徒に関する気になる情報を全学年で共有している。また、16年度からは学年の取り組みとして、問題発生あるいはその兆しがみられた際、随時、文書での共有も始まった。共有文書には各教員の分析コメントが追記されることもあり、2学年長・板澤毅尚先生はそこから学ぶことが多いという。 「ほかの先生方の生徒の見取り方にふれ、生徒と向き合うとき、単に時間を共有するだけでなく、生徒をどう観察するかという視点が大切であることに気づかされました」(板澤先生) 多くの教員が生徒一人ひとりの状況を把握することが、保健室利用者の減少にもつながっているようだ。 「生徒は悩みや困ったことができたとき、保健室に駆け込むだけではなく、さまざまな先生方に相談するようにな このほかにも、地域での清掃やイベントのサポートなど、学校ぐるみで日常的に校外に出てボランティア活動を実施している。 もう一つの具体策が、コミュニケーション教育の充実だ。17年度は1・2学年を対象に、岩手県立大学より講師を招いてSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)の授業を4回実施。怒りへの向き合い方や、自分の気分への寄り添い方などについて、グループワークを交えて学習した。 「支援が必要な生徒のみではなく全員で取り組むことにより、コミュニケーションの全体的な底上げを狙った取り組みです。どんな個性であっても排除せず認め合い、相手の立場を思いやりながら人間関係を構築していけるようになってほしいと考えています」(教育相談・特別支援コーディネーター・渡部 忍先生) 地域ボランティアやインターンシップなど実社会における学びとの相乗効前沢高校の近年の動向多様な個性を尊重し人間関係を築くことを学ぶ生徒一人ひとりを面で支える体制を整備2015年12月岩手県教育委員会が「新たな県立高等学校再編計画」を発表(前沢高校の学級数を2019年度から1学級とする方針)2016年度●関係者へのアンケート調査(生徒、保護者、職員、同窓生)●高校受験産業への聞き取り調査●周辺中学校23校への学校訪問●職員ワークショップ実施●生徒ワークショップ実施●アクティブ・ラーニ ング型授業の推進●アクティブ・ラーニ ング研修会および 中高情報交換会 の開催(2回)●生徒の気になる言動 について文書にて 共有●SSTをテーマに教員 研修会を開催(2回)●年2回の中学校 訪問●学校webサイト 更新頻度について 検討2017年度●1・2学年でSST 定期実施●地域ボランティア を核とした 探究学習を実施 (図1参照)●中高連携会議の 開催(教育相談の 観点から)●市役所、支援団体、 特別支援学校などと の連携によるサポート 体制整備●生活習慣アンケート 実施(生徒の実態把握)●公式Facebook ページ、Twitter 運用「前沢高校活性化プロジェクト」スタートリサーチ・協議 ⇒ 目指す学校像、具体策の明確化授業・活動多様な生徒への対応広報「学校おこし」をテーマとした教職員研修会。県内の高校の活性化事例を学び、自校の今後について議論を交わした。生徒も「より良い前沢高校を作っていくために、私たち一人ひとりにできることは何か」についてワークショップを開催。個人として、組織として 学校改革にどう取り組む?前沢高校 (岩手・県立)172018 MAY Vol.422

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