キャリアガイダンスVol.422
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ったようです。それだけ生徒と先生方の距離が近くなったからだと思います」(養護教諭・久多良知花先生) 生徒を面で支えるため、校内のみならず、異校種間の連携も進めてきた。17年度は近隣の中学校を招いた地域連携教育相談会議を2回実施。特別支援学校や岩手県自閉症協会、奥州市健康福祉部との意見交換も交え、共に生徒の支援方法について考える機会をもった。多様な生徒を受け入れるにあたって、今後も小・中学校と定期的に情報交換会議を開催し、長期的な視点にたって生徒を理解し、日々の指導に生かしていく予定だ。 学校改革に取り組んできた教員たちに話を聞いた。 「一人ひとりに寄り添って、生徒が自分らしく生きていく道を探すサポートができることにやりがいを感じます」(渡部先生) 「授業にアクティブ・ラーニングの視点を取り入れてみて、座学だけではわからない生徒の多様な面に目が向き、生徒の成長が見られるようになりました」(教務主任・川原恵理子先生) 「生徒たちが小さな成功体験を積み重ね、自分に自信をもって卒業していくことが喜びです」(進路指導主事・立花志津先生) コメントから感じられるのは、学校規模縮小の危機感より、生徒の成長を支援したいという思い。その手応えが改革を加速させてきたとわかる。 「危機感を煽るのではなく、こうすると生徒も学校も良くなっていくというイメージを共有しながら取り組んできました。実際に生徒が変わり始めると、先生も自信をもって進むことができるようになったのではないでしょうか」(千葉副校長) 同校教員に「常に生徒のためを考えているプロ集団」と信頼を寄せる里舘校長は、「小さな失敗を恐れず存分に挑戦してほしい」と呼びかけてきた。そんな組織風土で、教員は自身の成長も感じている。 「最初からうまくいかないかもしれないけれど、まずやってみよう。そう覚悟できるようになったのは、自分自身の大きな変化です。それも、自分ひとりでやると失敗しがちですが、ほかの先生方の力も借りてみんなでやったほうがうまくいくことも学びました」(板澤先生) 2年間で、同校に対する周囲の評価は確実に変わった。中学校への聞き取りでは、「安心して生徒を送れる」「連携をお願いしたい」など、同校を頼りにする声が多くあがるように(図2)。中危機感より改善イメージをもち「みんなでやってみよう」特色への理解が進み志願者数は前年比1・5倍に学生からの授業見学や学校体験の申し込みは増加し、18年度生徒募集では前年比1・5倍の志願者が集まった。学級数維持の可能性への希望はまだ消えていない。 2年間で一定の成果をあげたが、今後も学校改革は続くという。生徒は常に入れ替わり、数年後も今のやり方が通用するとは限らないからだ。 「教育現場の答えはいつも生徒にある。いかに生徒をきちんと的確に見取ることができるか、理解できるかに尽きます。われわれが生徒たちの変化に対応していけるよう、常にエビデンスに基づいて現状把握しながら改善していきたいと考えています」(千葉副校長)図1 「地域の福祉を学ぶ」地域ボランティアのプログラム図2 中学校からの聞き取り結果より(2017年度)日程内容8月23日グループワーク「福祉概論 福祉を知ろう」~地域を支える「ボランティア力」への期待~講師:秋田看護福祉大学准教授 吉田守美氏8月23・24日グループ別ボランティア活動①共に生きる体験…障がい者就労支援施設にて心身の障がいのある人と共に働く。また、児童福祉施設にて子どもとのふれあいを通して「共生できるまち」の在り方を考える②見守り体験…児童館、放課後子ども教室にて子どもたちとのふれあいを通して「子どもの見守り」を体験する9月26日探究学習「地域の福祉を学ぼう(まちおこし)」ボランティア活動の振り返り学習10月21日前高祭(学校祭)にて代表者が学習発表●生徒を送り出す側としては、一人ひとりを大切にしてくれる姿勢は ありがたい。●発達障がいをもつ生徒が増加している。そういった生徒に対する 指導体制をもっているということで、今後参考にさせてほしい。●多様な生徒がいて、指導に苦慮している。前沢高校は貴重な 学校だと思っている。●昨年度はいろいろとご配慮いただき感謝している。また、入学した 生徒に対しても手厚く指導していただきありがたく思っている。●中学校のうちにもっと育てて高校生に送れるように、今後ますます の連携をお願いしたい。●前沢高校なら、安心して生徒を送れると感じた。もっと周知して いきたい。副校長千葉 貢先生教務主任川原恵理子先生教育相談・特別支援コーディネーター渡部 忍先生校長(取材時)里舘文彦先生進路指導主事立花志津先生2学年長板澤毅尚先生養護教諭久くだら多良知花先生個人として、組織として 学校改革にどう取り組む?前沢高校 (岩手・県立)182018 MAY Vol.422

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