キャリアガイダンスVol.422
21/66

髙木先生一人で考えるよりも一層良いものができたんですよ。しかもそこで考えた活動の在り方は、英語ではなく日本語で取り組むとすれば、どの教科でも応用できます。普段の授業から、知識習得だけでなく、マインドやスキルの育成まで目指す先生が増えました」(池谷先生) 「土曜特設講座」で得た知見を生かす形で、2016年度には学校設定科目「骨太英語」「創造英語」の授業も開始。2017年度からは、総合的な学習の時間にPBLを導入した。 また、2016年度には普通科と共にあった国際教養科の募集を停止、理系の進路選択が可能な「グローバル科(国際科)」の募集を始める。同校の「国際」は語学を学ぶ文系ではなく、英語を使って学問を学ぶコースであることを打ち出したのだ。 生徒がチャレンジ精神をもち、オープンマインドで物事に取り組めるよう、学校環境も整えられていった。 2015年度からは、定期テストへの代替も見すえて、民間のスコア型英語4技能検定を学校に導入した。 「合格・不合格ではないスコア型検定なら、どんな生徒も次の目標設定ができます。高得点の生徒だけでなく、200点を300点に伸ばした生徒の努力も評価できる学習環境にしたかったのです」(寺下先生) 民間企業と連携し、短期夏季留学も再構築。世界の第一線で社会課題の解決に挑む人たちと英語でふれあって学ぶプログラムに進化させた。 設備の充実も進めている。2014年度に壁一面ホワイトボードの教室を11室整備、大型ホワイトボードも数十台購入して授業で使えるようにした。 「大きなホワイトボードに皆で書き込むと、どの書き込みが誰のかわからなくなり、それぞれの意見を人に引っ張られることなくフラットに受け止められます。オープンマインドに議論しやすくなるんです」(日野田先生) 2016年度には図書館を改修、生徒たちが有機的に結び付きながら議論できる空間を館内に生み出した。 こうした改革が進むにつれ、生徒にも変化が見られるようになった。例えば500語の英文エッセイを課題で出すと、テストでは最下位を争うほど苦戦している生徒も、字数稼ぎはせず、文法の間違いはあれど、自分の伝えたいことを500語以上で綴ったという。 「英語で『意思を伝えられる』と自分を信じることができたのかな、と思えて嬉しかったです」(髙木先生) 土曜特設講座の生徒の変貌に、日野田先生が胸打たれたこともあった。「考えた課題解決案を発表する際に、あるチームが『完成しなかった』というプレゼンをしたんです。実際には8割方はできていたんですよ。でも『みんなのマインドセットが合っていない、このままじゃ出せない』と泣きながら話して。それを他の生徒や先生も前向きに受け止めたのです」 無難にやり過ごさず、挑戦しようとする姿勢は、進路選択にも如実に現れるようになった。数年前まで海外進学者はほぼ0だったが、2017年度は海外大学に36名も合格。そのなかには東京大学や京都大学より世界ランキングで上位の大学も含まれたのだ。国内難関大学の合格者も増加。全体の成績も底上げされ、模試では国数英の偏差値が数年前より着実に上がった。 もっとも、今後の目標はその実績をただ伸ばすことではない。これからも生徒が自分で「勇気ある選択」ができること。そのためのマインドやスキル、自信を育むことをなお目指している。テストや設備環境も工夫し、生徒の意欲や勇気を引き出す改革のための工夫3先生がチャレンジしやすい学校文化を育む①30秒ルールと挑戦の推奨 先生たちに日野田先生は、「何時間も考えて正解を出そうとせず、30秒で決めてやってみてからフィードバックを受けましょう」と推奨。生徒の命に関わらない限りは「何でもチャレンジしていい、失敗してもいい」と言い続けた。②先生の仕事の負担軽減 挑戦を求めるだけだと、先生たちの仕事は雪だるま式に増えかねない。補講や補習の原則取りやめ、採点業務軽減のためのマークシートの機械の導入、一部定期テストの模試への転換の検討、超過勤務を減らす呼びかけなど、仕事の負担軽減にも注力している。③否定ではなくリスクヘッジへ 管理職や分掌長、学年主任からなる運営委員会では、各分掌や各学年が責任をもってまとめた提案を否定することはNGに。何らかのリスクを感じるなら「どんな対策や回避策をとればいいか」というリスクヘッジの意見を出してその提案を皆でサポートすることを目指した。④校長が責任を取ると明言 失敗やトラブルの最終責任は「校長が取る」とも明言。実際、教育委員会をはじめ関係者への事情説明は日野田先生が積極的に引き受けた。スタンフォード大学のd-schoolの設計思想を参考にして改修した図書館。椅子をもって移動したり、何人かで車座になって円卓を囲んだりと、やりたいことに合わせて臨機応変に自分たちでその場の在り方を変えていける。進路指導部長(取材時)寺下公章先生校長(取材時)日野田直彦先生SET(取材時)髙木草太先生首席(取材時)池谷陽平先生■ 海外進学の主な実績(2017年度)※世界ランキングは『Times Higher Education2016-17』より※全米ランキングは『Forbes AMERICA'S TOP COLLEGES2016』より下記の大学を含めて、海外大学に36名合格。メルボルン大学 世界33位 2名 シドニー大学 世界60位 3名 クイーンズランド大学 世界60位 1名 パデュー大学 世界70位 1名 モナシュ大学 世界74位 1名 ニューサウスウェールズ大学 世界78位 2名 ウェズリアン大学 全米9位 1名 グリンネルカレッジ 全米73位 1名 ミネルバ大学 (日本の一条校初)   ー 1名 ※2 TOEFL iBT(TOEFL Internet-based Test)…インターネット形式で実施される英語4技能テスト。英語を「知っているか」ではなく「使えるか」に焦点を当てている。個人として、組織として 学校改革にどう取り組む?箕面高校 (大阪・府立)212018 MAY Vol.422

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る