キャリアガイダンスVol.422
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総合学科設立の使命に立ち返り「25歳の自分創り」を支援する教育課程と組織へ転換 東京都立東久留米総合高校は2007年度、普通科高校2校の統合により誕生した総合学科高校だ。「一人ひとりの目的意識を育て進路実現を図る学校」を目指し、「自然科学」「人文科学」「情報ファイナンス」「スポーツ科学」「看護福祉」の6系列を設置。「生徒の興味・関心や進路に応じて、多様な科目から2年次は11単位、3年次は20単位選択できる柔軟な教育課程を特徴としてスタートした。 それが10年足らずのうちに、当初の趣旨とは異なった、いわゆる「進学型総合学科」の方向に変化していった。教育課程の変遷を見ると、国立大学受験に必要な国数英の必修科目が増加した一方で、系列選択科目の単位数は減少。7期生の時点では、2年次の系列選択科目の枠は4単位にまで減った。また、開校以来、総合的な学習の時間に実施してきた、各教員が教科に縛られず学問の魅力を伝える講座を開く「魅力統合」も、教育課程から姿を消していた。 生徒は落ち着いており、進学実績も順調に伸ばしていた当時の同校に、「進学型総合学科」の方向性を問題視する目立った動きはなかったという。そこに、15年度、総合学科立ち上げ経験のある櫛野治和先生が校長として着任。「真の総合学科」を目指して学校改革に乗り出した。 「都立には大学進学重視の教育課程を特色として都から指定された普通科をはじめとする高校が二十数校あり、大学進学希望者の選択肢は既に数多く用意されています。地域に必要とされるのは、それらの高校では対応が難しい、多様な生徒のニーズに対応していく学校なのです。また、これまでの同校志願倍率は、サッカー強豪校としての人気に支えられてきたもの。今後、私立高校との競争が激化するなか、サッカー部の看板の他にも特色を打ち出す必要もありました」(櫛野校長) 櫛野校長は同校着任後、まず全教職員に対し、同校の課題についてのアンケートを実施した。そこから明確になった課題の一つは、総合学科の特色が薄められた教育課程だった。特に総合学科勤務経験のある教員は違和感をもっていたようだった。 そしてもう一つ、改善案を実行に移しにくいという組織上の課題も浮かび上がった。教員からの具体的な意見として最も多かったのは、「防災面から生徒の上履きはサンダルタイプから踵のある靴に変更したほうがよいのではないか」。櫛野校長は、こんな小さなことも簡単に変えられなかった組織の硬直化を感じたという。 これらの課題に全校で取り組んでいくにあたって、大切にされたのは教職員のベクトル合わせだ。櫛野校長は、現地域のニーズを踏まえた原点回帰の必要性キャッチコピーでベクトルを合わせ、常に「組織」を意識化図1 学校経営戦略シート学校改革を始めた2015年度の例。現状と課題が列挙され、今後の方向性が示されている。取材・文/藤崎雅子2007年創立/総合学科(系列:国際・人文社会、自然科学探求、スポーツ、看護・保育、芸術・表現)/生徒数682人(男子330人・女子352人)/進路状況(2017年3月実績)大学128人・短大13人・専門学校43人・就職4人・その他38人[学校データ]222018 MAY Vol.422

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