キャリアガイダンスVol.422
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科、機械工学科、グローバル情報学科の3学科で専門技術を学んでいた。 「社会にある課題は一つの分野だけで解決できるわけではありません。広くさまざまな角度から解決策を見つける力を付けるには、複合的な学問を融合させなければなりません」(バークスデール校長) そこで国際高専では「国際理工学科」のみの1学科に統合することで、理工学的思考力を身に付け、新しい価値を生み出す「STEM教育(S=Science、T=Technology、E=Engineering、M=Mathematics)」を実践する。 さらに、従来から力を入れていた国際化教育も進化させている。今までは、選抜された約10名の学生が、3年次にニュージーランドの提携校に1年間留学していた。語学だけでなく3学年が学ぶべき一般教科も学び、帰国後は元の同級生と同じ4年次に戻ってくる。この制度を全生徒対象にしたのだ。 「留学した学生たちの成長が著しかったため、全員に同じ体験をしてもらいたかったのです」(向井 守副校長) 全員が留学できるだけの英語力を付けるために、理数系の教科は1学年からすべて英語での授業を行うという、インターナショナルスクール並みの取り組みまで始めた。 「学校の公用語は『下手な英語』と『下手な日本語』の2カ国語だと言っています。下手でもいいから英語が生活の中に溶け込むことが大事なのです。国際高専からは1・2年生は全寮制の白山麓キャンパスで学ぶこととしました。寮ではラーニングメンターというアメリカ人の若い助教が一緒に生活をして、夜間の学習で英語のサポートなどをしていきます」(バークスデール校長) 「英語が母国語ではない外国人の先生も大勢います。だから下手でもいいのです。得意でない外国語を話すとき、本来の自分を出せない人が多いですが、うちの学生たちは下手でも怖がらずに英語を話すので、どんどん成長していきます」(向井副校長) ここまでドラスティックな改革に踏み切ったのはなぜだったのだろう。 「思い切って生活環境そのものを変え培ってきた探究的な学習や英語教育の土台が活きてくる国際高専(旧:金沢工業高専)の近年の動向1982年シンガポールの学校と提携(国際化のスタート)1991年TESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages)を取得した教員の採用開始2002年ニュージーランドの提携校に3年生の10数名を、1年間の留学派遣開始2003年エンジニアリング教育にも英語の授業を導入2008年当時の全学科に外国人の教員を導入2014年ルイス・バークスデール教授が校長に就任。「グローバルイノベーター」を育成するための学校改革がスタート2015年「金沢高専2020Vision」策定。グローバルイノベーターを目指す教育改革のために、進むべき方向と行動指針を打ち出す2017年校名を「国際高専」と改称し、1・2年次は全寮制の1学科(国際理工学科)の学校として、新入生の募集開始2018年国際高専としてリスタート図1 金沢工業高専から国際高専への主な転換内容金沢高専時代国際高専グローバルエンジニアモノづくりの技術の専門家➡グローバルイノベーター世の中の課題から専門分野が異なる仲間たちと新たな価値を創り出す人材電気電子工学科機械工学科グローバル情報学科専門分野別の学科➡国際理工学科1学科に統合。理数系の授業はすべて英語で行う金沢キャンパス➡1・2年次は白山麓キャンパス1・2年次は全寮制の白山麓キャンパスで、仲間と共に生活しながら学ぶ選抜された学生のみ1年間ニュージーランド留学➡すべての学生が3年次に1年間ニュージーランド留学現地で3年次の教育を受け、帰国後は4年生として復帰高専5年間で即戦力のエンジニアを育成➡高専5年間+大学・大学院4年間の9年間一貫教育高専5年次卒業後、金沢工業大学の3年次に編入可。その後、大学院修士までを含め、大学・大学院でのプロジェクトデザイン教育を通して、グローバルイノベーターの育成を目指す英語以外でも理数系の授業は英語で実施。外国人教員が担当する授業も少なくない。3年次に全学生が留学するニュージーランドの国立オタゴポリテクニク。2002年から提携している。今年行われたラーニングエクスプレスの様子。他国の学生たちと共に課題に取り組んでいる。育成する人物像設置学科学びの環境留 学教育ステージ262018 MAY Vol.422

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