キャリアガイダンスVol.422
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なければ、『グローバルイノベーター』は育たないと考えたのです。同質の中ではイノベーションは起こらず、異質で多様なものと共にする場が必要です」(山岸 徹事務局長) それが可能なのは、同校にはグローバル教育以外にもさまざまな土台があったからだ。同校では従来から、プロジェクトベースの体験型授業を行ってきた。学生自身がテーマを決めて卒業まで研究を続ける「創造実験」や「創造設計」というアクティブラーニング型の探究的な授業だ。こうした土台を国際高専で「エンジニアリングデザイン教育」として昇華させている。 また、4年次には、選抜された生徒が「ラーニングエクスプレス(以下LEX)」に参加してきた。LEXとは、異なる国の学生たちが発展途上国などでフィールドワークを通して地域の課題を発見し、問題解決策を提案・実施するプロジェクトだ。 「ニュージーランド留学の学生同様、LEXを経験した生徒たちは、オープンになって人が変わったように成長して帰ってきます」(山岸事務局長) LEXへの派遣は国際高専でも継続する一方、新キャンパスに海外からの留学生を招いて、白山麓の地域課題に取り組むプロジェクトとして実施することも計画しているという。自然に恵まれつつも、獣害や過疎化など、地域課題を多く抱える白山麓への地域貢献にもつながるはずだ。 同校の学校改革は、金沢工業大学の英語教授だったバークスデール先生が、校長に任命された4年前から始まった。初の外国人校長の就任は、学園が本気で「グローバルイノベーター」を育成しようとする、開校以来最大の改革のシンボルとなった。 「重圧もありましたが、改革の必要性は理解していました。まずは全教職員と一人ずつ面談し、改革についての意向を確認しました」(バークスデール校長) 当初、理数系の授業に英語を導入することに難色を示した先生もいた。しかし、工学系の外国人の先生と共に働く中で、人間関係が構築され、先生たち自身が刺激を受けていった。留学経験のある学生たちの成長も、先生た校長ルイス・バークスデール先生事務局長山岸 徹氏副校長向井 守先生図2 国際高専 国際理工学科の学びのフレームワーク“English・STEM教育”(英語による理工学的思考力の育成)入学ちが改革に賛同する要因にもなった。 最も大変だったのは、学科再編や英語導入による時間割の編成だった。どの先生も自分の授業のコマ数が減ることには抵抗がある。 「育成のゴールを5年後ではなく9年後と、目標が変わったことを理解したときに、先生方の目線が揃ってきました」(山岸事務局長) 「『去年と同じことをやっても面白くない。みんなで新しいことに挑戦するアドベンチャーとして、協働するラーニングコミュニティを作って、みんなで成長しよう』と伝えました」(バークスデール校長) 「地方の学校には生徒募集など常に課題があり、本校は4年ごとに改革をしてきたため、先生たちも改革には慣れています。理解して動き出すと早いのが本校の特徴です」(向井副校長) 動き始めれば現場の教員がカリキュラムへのアイデアを出すようになり、エンジニアリングデザイン教育なども現場からのアイデアだ。 そしてこの4月、国際高専として新たなスタートを切った。結果はこれからだ。 「『改革し始めたら成功するまでやる』がキーワードなので、本校の改革には失敗がありません」(山岸事務局長) 「今後はアフリカや南米など、まだいない地域の教員を招聘したり、生徒の留学先や国際インターンシップも増やしていきたいと考えています」(バークスデール校長)STEMによる専門基礎教育CDIO課外活動プログラム(地域や海外を対象に多様な学びを実践)STAGE 1STAGE 2STAGE 3・4エンジニアリングデザイン教育(理工系リベラルアーツ)確かな基礎学力とコミュニケーション力を育む●数学・物理・化学・生物 ●自然・歴史観からの教養教育Conceive… 考え出すDesign……… 設計するImplement… 行動するOperate…… 操作・運営する獲得する能力●創造性●チーム活動能力●問題発見・解決能力●自学自習能力●英語でのコミュニケー ション能力●プレゼンテーション能力●知識を応用して新しい 価値を生み出す能力金沢工業大学(KIT)と連携した創造的・革新的なステージへグローバルイノベーター社会と共に生きる力と人間力を鍛える●地域連携活動 ●インターンシップ ●国際COOP教育 ●ラーニングセッション など1・2年次ボーディングスクール3年次ニュージーランド留学4・5年次、学部3・4年次、大学院KIT と連携した共創教育・研究夢考房エンジニアリングデザイン教育●問題発見・解決型の創造的チーム活動 ●モノづくり、コトづくりの実践と検証考える力を鍛える(デザインシンキング+IT+データサイエンス)●エンジニアリングコンテキスト ●コンピュータスキルズ一人ひとりの教員と話し合い目標のゴールをすり合わせた個人として、組織として 学校改革にどう取り組む?国際高等専門学校 (石川・私立)272018 MAY Vol.422

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