キャリアガイダンスVol.422
31/66

の先生方が築いてこられたノウハウやキャリアに敬意をもってそれを活かすことだと思います。新しい学力が重要視されてくるとはいえ、従来型の知識や技能の育成がなくなるわけではありません。授業スタイルもAL型の授業が導入されても、一斉講義も必要です。組織の多様性として、従来型の授業や考え方も大事にしなければなりません。 主体的な学びが必要になるのは間違いありませんが、その動機付けには諸説あります。我々が考えたやり方が必ずしもベストとは限らないため、チェック機能として違う意見の先生方の存在が必要なのです。改革だからと全員が一斉に同じ方向を向くことは、ある意味危険だと思います。――学校改革は動き出すまでが大変で、組織として一歩踏み出すために何が必要だと思いますか? 中居先生:それぞれの先生が「なぜ教員になったのか」の原点を考えるとよいのではないでしょうか。おそらく教科の専門家として、生徒の力を育むためだと思います。「生徒に育みたい力」がバラバラだと組織としての取り組みにならないため、学校全体で整理して目線を合わせることが大事です。そのうえで、各教科でやるべきことに落とし込んで授業改善することがカリキュラム・マネジメントの基本だと思います。滝井先生:生徒に育みたい力をすり合わせるために、教員全員が参加して一緒に考える場が必要だと思います。仙台三高では昨年度から「求める生徒像」、いわゆるアドミッションポリシーをつくるために「学校づくりプロジェクト」を開始しました。全教員参加によりワークショップ方式で求める生徒像を考えています。こうした取り組みがちょっとでも面白いと思ったら、やってみたいと思ってくれるのが教員の特性ですね。――最後に、もし今の学校から異動されても、学校改革を率先してされますか? 異動先がゼロベースの学校だった場合、何から始めますか?滝井先生:目の前の生徒を規準にして、必要であれば改革はやります。しかし、ひとりでは何もできません。まずは仲間づくりから始めます。中居先生:私もやります。やはりひとりでは無理なので、「こんな授業を一緒にやりませんか?」と授業について話をしてみると思います。滝井先生:結局、人が組織をつくっているので、一人ひとりの「人」を巻き込んでいくことだと思います。「いい方法がありますよ」と少しずつ仲間を増やして、5〜10人くらいはいないと組織は動かせないですね。中居先生:システムができても魂がないと改革は続かないので、やはり志をもつ「人」が大事ですね。――ありがとうございました。改革はひとりではできない。同じ志をもつ仲間づくりが踏み出す一歩。 穏やかな語り口ながら、熱く語り合っていた滝井先生と中居先生。お二人とも公立高校で、県内の状況や校長先生の任期など、学校の状況は異なるものの、やるべきこと、行っている取り組みの本質は共通しているように感じました。それは、「これからの生徒に必要な力を整理したうえでの育成」「その力のために必要な授業方法の考案」「仲間の先生とともに推進」ということでした。仲間の先生の巻き込み方として、滝井先生が「『当事者意識』という言葉は使わない」と言ったことが印象的でした。つい使いがちな言葉ですが、居丈高に捉えられかねないため、「教員自身が主体性をもつ」「主体意識」と言った方が伝えやすいとのこと。組織を動かすうえで、言葉遣いひとつも大切であることも、参考になると思います。編集部から個人として、組織として 学校改革にどう取り組む?主幹教諭対談 滝井隆太 × 中居寛美312018 MAY Vol.422

元のページ  ../index.html#31

このブックを見る