キャリアガイダンスVol.422
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 このTPチャートを学校改革においても活用できないか探ろうと、東京大学で行われたワークショップに、編集部も先生方に混じって参加した。 やってみると実感するのは、「教育方法」「方針」「理念」と自分の中にあるものを可視化しただけのはずが、それを見直すと、まだ言語化できていなかった想いや、自分に不足していた部分がおのずと見えてくることだ。先に具体的な行動を列挙し、それを基に概念をまとめる流れなので、抽象的なことをいきなり問われて言葉に詰まることもない。ワークが進むほど、皆が作業に没頭していった。 参加者の一人、都立青梅総合高校の秋庭慎吾先生は「いろいろな授業改善はしているが、なぜそれをするのか自分の想いがぼやけている」と感じてこのワークを受けたという。 「生徒にどうなってほしいのか、そのために何をしたいのか、頭の中を整理できました。職場でもやってみたくなりましたね。例えば教育の方法論を議論すると、ある先生の授業改善のやり方を、否定的にみる先生も出てきます。ですが、個々の先生がなぜその方法を用いるのか、想いから共有すれば、両者のあいだのギャップが埋まってより建設的な話し合いができるように思うのです」なぜその方法を用いるのか想いの共有で建設的な議論にTPチャート作成の流れ栗田先生と吉田先生はTPチャート作成ワークショップを随時開催しています。ここでは3時間半に及ぶそのワークの全体の流れをご紹介します。TPチャートの作成(2時間)1① 全体説明②「作成目的」や「責任(教育活動)」の記述TPチャートの概要説明。シートに作成目的(授業改善、気づきを得たいなど)を書き、責任(直近1年の教育活動、例えば○○の授業、進路指導など)を付箋に書いて貼る。⑥「方法」の振り返り教育活動で重視している行い(発言機会を作る、毎回小テストなど)を付箋に書く。「考え」ではなく「行い」を書く。⑪「エビデンス(根拠)」の検討付箋に書いたことの根拠資料を考え、小さな付箋を加える。「改善・努力」なら勉強会チラシ、「成果・評価」なら同僚コメント、「方法」なら配布資料など。エビデンスを残す習慣をつけるために。⑦「方針」の可視化書き出した「方法」をなぜ用いているのかグルーピングしながら理由(方針)を考える(その方法で生徒にどう成長してほしいのかなど)。⑫ シェア3回目根拠資料が浮かばない付箋についてエビデンスとなるものを交互に考える。⑧「理念」の可視化書き出した「方針」をグルーピングし、なぜそうした方針を取っているか考え、「理念」を見出す。その理念をもつに至ったエピソード(影響をうけた人物や物事)をリンゴ型の付箋に書き出し、そこから新たな理念が見つかれば追加する。⑬「目標」の作成短期目標として、「方法」「改善・努力」「成果・評価」に取り入れたいことを青色の付箋に書き出す。全体を見渡し、今後達成したいと考える長期目標を考え、シートの「目標」のところに書き出す。③「改善・努力」の記述教育活動における改善(言語活動の充実など)とそのための努力(AL勉強会に参加など)を付箋に書いて貼る。⑨「理念」と「方法」「方針」の対応づけ「理念」「方針」「方法」が対応づいているか確認し、付箋を整理する。⑭ 感想の記述TPチャート作成を振り返り、シート欄の「感想」に記入する④「成果・評価」の記述教育活動による生徒の成果と、生徒や第三者からの評価を付箋に書き出す。⑤ シェア1回目自己紹介して責任(教育活動)や改善・努力、成果・評価を交互に説明する。⑩ シェア2回目自分の「理念」と、その理念を具現化した「方針・方法」を交互に説明する。⑮ シェア4回目「目標」と「感想」をシェアする。⑯ 全体シェア■ピアレビューの注意点【話し手】は専門用語を極力使わず相手にわかるように説明する。【聴き手】はまずは聴くことに徹し、相手を受け入れる。相手の振り返りを深めることを目的にしたフィードバック(反応・質問など)をする。362018 MAY Vol.422

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