キャリアガイダンスVol.422
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TPチャート個人・組織でどう活かす?TPチャートのワークショップには、実際に学校改革や組織運営のための活用を視野に入れた先生方の参加も。その構想をお聞きしました。教師として何を目指したいか自分の中にある答えを定めてから校是と対比して組織的な活動へ相互理解を進めてチームづくり他の研修との組み合わせで理念に基づく改革を推し進める大阪高校(大阪・私立)第3学年主任 北村恭崇先生広島城北中・高校(広島・私立)教頭 中川耕治先生ティーチング・ポートフォリオとは? TPチャートの由来であるティーチング・ポートフォリオ(TP)は、大学の「教育改善」と「教育活動の可視化」をするためのツールとして生まれた。先生一人ひとりが作成する記録集で、自身の教育活動をA4用紙8〜10枚ほどにまとめた本文と、その活動の根拠資料(エビデンス)からなるファイルだ。TPを作成すれば、その先生が何を目指してどんな活動をしているか、本人も周囲も把握しやすくなる。結果、その活動の改善案の検討や、教育業績の多角的な評価をしやすくなるのだ。 TPが生まれた背景には、社会の要請がある。大学の先生は「研究」だけでなく「教育」もきちんとしてほしい、という要望だ。また、大学の教職員が望んだ側面もある。教育業績が問われるなら、授業数などの「量」だけでなく、学生が狙いどおり成長したかなどの「質」も評価してほしい、と。欧米では主に教育業績評価の資料として使われ、日本では教育活動を把握して改善するツールとして普及。大学だけでなく高校でもTPを作成するところが出てきた。 作成するにあたっては、メンター(助言者)となる相手と対話を重ねながら、時間をかけてTPを仕上げていく。海外では3泊4日のワークショップで、栗田先生たちが事前学習などで短縮させた日本型ワークショップでも、2泊3日かけて取り組む。そこで教育活動をきちんと振り返るには、経験のあるメンターやスーパーバイザーのサポートが欠かせず、先生同士の自主的な研修や勉強会で、TP作成まで行うのは難しい。 TPチャートの効果を実感した方は、さらにTPの作成まで取り組むと、より深く活動を振り返ることができ、教育改善を推し進めていけるはずだ。 生徒支援センター長というミドルリーダーとしての立場となり、組織のことも考える必要が出てくるなか、TPチャートに興味を持ちました。学校の変革を推進していくには、進むべき方向を明確にして、先生方にもそれを踏まえて動いてもらうことが必要です。ただ、こちらから理念や方法を押し付けるだけになれば、やらされているだけになり上手くはいきません。今日のワークにもありましたが、何を目指したいのかは本質的に先生方それぞれ「自分の中に答えがある」と考えています。それを前提に、学校をより良くしていきたいと思っています。だからこそTPチャートで、若手もベテランも自分の活動を見つめ直すことに意味があると感じています。 まずはTPチャートを作成して、おのおのが自分の理念を見出し、日頃の方針や実践とのつながりも確認する。そのうえで、自分の理念と、学校の理念や校是と比較して、共通点やズレを明確にする。そういった研修ができれば、組織として「この方向で行きましょう」と確認しやすくなるのではないかと考えています。 分掌の仕事や生徒との関係で日ごろ大切にしていること、授業で工夫していることなどについて職員室でじっくり語り合う機会はあまりありません。TPチャート作成のペアワークでそこをシェアすると新たな気づきが得られることを実感し、職場でのチーム作りにも有効だと考え、校内でも行いました。 懸念もありました。チャートを書けず嫌な思いをする先生がいないかと。ですが手順を踏むと、全員が理念を可視化でき、共通点も見出せたのです。また、「より以上」を目指すための傾聴・承認・質問が活発にできるようになりました。 今年度は、TPチャートを作成するだけで満足せず、着実に改革を進めていくことができるよう、ほかの研修との組みあわせを予定しています。見出した理念を基に授業改善案を練る研修、全教員が公開授業を行い、その前後に授業デザインについてフィードバックし合う研修などです。TPチャートは、いろいろな教員研修を「意味あるものにつないでいく」起点になるものだと考えています。382018 MAY Vol.422

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