キャリアガイダンスVol.422
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442018 MAY Vol.422 誌上 進路指導ケーススタディ 新入生の不適応に、 どう向き合う?生徒との対話のなかで、ちょっとしたひと言や言葉のかけ方によって、生徒の反応が大きく変わってきます。わかってはいても、実際に実行するとなると意外に難しいことも…。そこで、進路指導のケースとしてありがちなやりとり例をいくつか挙げ、それぞれのチェックポイントを教育カウンセリングの専門家・会津大学の苅間澤勇人先生に解説していただきました。生徒との対話力向上に、役立ててください。取材・文/清水由佳 イラスト/おおさわゆう今のー回ケス<ケースの背景・状況>欠席や遅刻などの原因追及パターン入学して1カ月が経ち、そろそろクラスの中でも「仲間」「友人」関係ができ始めた頃。どのグループにも属しておらず、一人でいることが多い生徒。部活にも入っていないようで、登下校も一人。勉強にも熱心に取り組んでいる様子は見られず、授業中は寝ていることが多く、生活面では遅刻が増える。ついに欠席をしたので、個別で話を聞くことにした。学校・クラスにまだ馴染めていない1年生男子先生: 今日も遅刻したよね、このところいつも遅刻しているよね。 生徒: え、たまたま今日は少し遅れただけです。 先生: 何で遅れたんだ。理由は? 生徒: ・・・別に。先生: 理由がないわけないだろ。寝坊か? 生徒: 道が混んでいて、しょっちゅうバスが遅れるんです。先生: いつも遅れるなら、1本早いバスに乗るようにすればいいだろ?生徒: え~、でも・・・。先生: でも、じゃないだろ。わかったな。 第6回会津大学 文化研究センター上級准教授 苅間澤勇人先生かりまざわ・はやと●1986年岩手大学工学部卒業後、岩手県立高校教諭に。早稲田大学大学院教育学研究科後期博士課程単位修得退学。教育学、教育カウンセリング心理学を専門とする。2015年4月より現職。ありがちなやりとり1(解説&アドバイス)「教える―教えられる」という上下関係からの脱却を 生徒との日常の会話で、ありがちなやりとりではないでしょうか。遅刻や欠席を、「なぜしたのか?」と問いただすパターンです。けれども、お互いの人間関係ができていない状況や上下関係があるなかで「なぜ?」「どうして?」と尋ねられると、された側は「責められている」と感じてしまいます。この場合も、まさにそのパターン。先生と生徒の関係が、従来の「教える―教えられる」という上下関係を引きずったままで、一方的な会話になっています。しかも、遅刻の原因を「寝坊か?」と勝手に決めつけ、「1本早いバスに乗ればいい」と押し付けてしまいました。これでは、生徒は素直に自分の話をすることができません。 まずは、先生自身が、生徒とは同じ立場であることを意識する必要があります。どうしたら良い方向にしていけるかを、お互いに考える共同体であること。そのための合意形成をいかに図るかが大事です。【解説&アドバイス】

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