キャリアガイダンスVol.422
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462018 MAY Vol.422従来型の「先生」としての立場や考え方を変えていく必要があります 少し前まで、今どきの生徒はコミュニケーション能力が低い、これからはコミュニケーション能力を高める必要がある、と言われていました。そういう状況において、学校ではどのようにコミュニケーション能力を高める取り組みをしてきたでしょうか。必要性は理解しつつも、教育課程の中にどう位置付けるかが難しく、なかなか取り組むことができなかった学校も多いと思います。 しかし、次期学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」が明確に示され、コンピテンシーが重視されています。コミュニケーション能力が必要ということがさらに進み、高い次元での「対話力」が教師にも生徒にも、求められています。 特にそれが発揮されるのが、生徒と直接向き合う進路指導や生徒指導の場面だといえます。そのような場面において、いかに生徒と対等に関わりコミュニケーションをとっていけるか。そこから「対話」がスタートします。 学校の先生は、生徒との関わりに日常の多くの時間を費やしています。教師― 生徒関係は、指導するものと指導を受ける者という強弱の関係性があります。しかし、これからの教育において生徒のコミュニケーション能力を身に付けさせるためには、この強弱関係だけでは不十分です。 以前は、先生と言われる人が、一方的にアドバイスしたり、説明したり、叱ったりするだけで十分にやっていける時代もありました。しかし、それだけでは敬意をもって接してもらえる時代ではなくなり、具体的に丁寧に説明し、理解、納得してもらって合意形成することが必要になりました。先生と呼ばれる専門職の人たちこそ、専門的な知識だけではなく、それをわかりやすく説明し、一緒に課題を乗り越えていくというコミュニケーション能力が求められているのです。今回のケースは、教師役割は一端脇に置いて、生徒のことをわかろうとする姿勢でコミュニケーションすることが必要なケース。そこに気づくかどうかが大切なポイントです。 生徒との対等なコミュニケーションを成立させていくためには、まずは「共感する」ことが必要不可欠です。 話の中で、一方的に決めつけたり、誘導するのではなく、目の前の生徒が何に困っているのか。その事情や背景を十分に理解し共感することです。そのためには、教師が自分の感情に気づき、コントロールできることも大切です。「なぜ遅刻するのか」「なぜ人と関わろうとしないのか」つい腹を立てる場面もあるかもしれません。しかし、そこで腹を立て、自分の感情から発する言葉は、生徒の心を閉ざしてしまいます。「腹を立てたときには6秒待つ」「怒りの対象から一端視線を外す」など、最近ではアンガーマネジメントを耳にすることが増えているかと思います。コミュニケーションのスタートとして、このような知識も役立つことと思います。苅澤生よるウセン解間先にカンリグ説教師のためのケース別アンガーマネジメント川上淳子著 小学館対生徒、対保護者など、さまざまなケース別に具体的なアンガーマネジメントが解説されている。生徒に「共感」し、一緒に乗り越えていく自分の感情をコントロールする関わり方が大事学習指導要領でも重視される「コミュニケーション」力「子供一人一人が、自らの学習状況やキャリア形成を見通したり、振り返ったりできるようにすることが重要である。そのため、子供たちが自己評価を行うことを、教科等の特質に応じて学習活動の一つとして位置付けることが適当である。(中略)その際、教員が対話的に関わることで、自己評価に関する学習活動を深めていくことが重要である」(「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」(答申)より)<主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善>「選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ、生徒にとって政治や社会が一層身近なものとなっており、高等学校においては、社会で求められる資質・能力を全ての生徒に育み、生涯にわたって探究を深める未来の創り手として送り出していくことがこれまで以上に求められること。また、特に高等学校教育においては、大学入学者選抜に向けた対策が動機付けとなり、小・中学校に比べ知識伝達型の授業にとどまりがちであることや、卒業後の学習や社会生活に必要な力の育成につながっていないことが課題となっていることから、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善が必要とされていること」(「高等学校学習指導要領の全部を改正する告示等の公示について」(通知)より)

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