キャリアガイダンスVol.422
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 岡山県立和気閑谷高校のルーツは、江戸時代前期に岡山藩が開学した「閑谷学校」にある。地域の指導者を育成するために広く門戸を開いた、日本最古の庶民のための学校だ。現在は普通科とキャリア探求科の2学科において地域の多様な生徒が学ぶ同校。校長・香山真一先生は、「学ぶ志をもつ多様な子どもたちを受け入れ、一人ひとりの個性や能力を伸ばしてきた閑谷学校のDNAを、しっかり引き継いでいきたい」と使命感をもって学校運営にあたっているという。 現代社会をにらんだ現在の同校教育目標には、「主体的に考え、課題を発見し探究する人」という人材像が掲げられている。そんな人材の育成のため、この数年、次の2本柱の改善に力を入れてきた。 一つは各教科の授業だ。教え込む授業から脱却し、生徒の探究心を引き出す授業への転換を推進。扱う課題や授業方法の工夫に、学校ぐるみで取り組んでいる。 もう一つは、総合的な学習の時間で展開する、「地域との関わりを重視しながら、自ら学び自ら考える姿勢と問題解決していく力を身に付ける」という目標を掲げた探究学習「閑谷學」だ。 この2本柱の相乗効果により、同校は数年間で大きく変わった。何によってどう変化したのか、同校独自の取り組みである「閑谷學」を中心として見ていきたい。各教科の授業と探究学習、2本柱の改善に重点 「閑谷學」の最大の特徴は、地域との密接な連携だ。地域連携を行う学校は少なくないが、その幅広さと深さにおいて同校は際立っている。 総合的な学習の時間は2005年度から「閑谷學」という名で実施しているが、当初は教室内に閉じた内容だったという。体験的な活動によるキャリア教育の必要性を感じていた主幹教諭・大野浩志先生らは、校内にプロジェクトチームを立ち上げ、「閑谷學」にインターンシップや進路に関する探究的な学習を導入した。しかし、当時は導入に慎重な意見が多く、重要性を何度も訴え、ようやく数時間の体験的な学習の実践にこぎつけるという厳しい状況だったという。 そこから地域連携による活動が大きく進展したのは13年度のことだ。同校は和気町で唯一の高校だが、少子化により定員減が続いており、15年度より学年3クラス体制へとさらに縮小されることが決まっていた。 そんななか、地域の衰退を防ぐためには教育の充実が重要という和気町の思いと、特色ある教育活動によって生徒の学力・意欲を伸ばし魅力化を図りたいという同校の思いが一致。地域の商工会や小中学校を含めた幅広い連携による「和気閑谷高校魅力化プロジェクト」が立ち上がった(図1)。試行錯誤しながら、さまざまな場面で生徒が地域で活動した岡山県南東部の中山間地域に位置し、学年3クラスという小規模な和気閑谷高校。同校オリジナルの探究学習「閑谷學」では、生徒が学校の垣根を越えて活動するなかで自己肯定感を高め、社会の課題に対する主体的な姿勢や行動力を育んでいます。取材・文/藤崎雅子先進校に学ぶキャリア教育の実践町の活性化に主体的に取り組む「閑谷學」を軸に探究心や行動力を育成和わ気け閑しずたに谷高校(岡山・県立)総合的な学習の時間 探究学習 地域連携 小中高連携 外部人材の活用ルーブリック 一枚ポートフォリオ評価 MSC評価町との協働プロジェクトで教育の充実化を加速482018 MAY Vol.422

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