キャリアガイダンスVol.422
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生徒も教員も生涯学び続け、生徒も教員も生涯学び続け、“Better than before”の精神で“Better than before”の精神で一歩前に踏み出す集団でありたい一歩前に踏み出す集団でありたいまとめ/長島佳子 撮影/安藤貴史1949年創立。初代理事長はサントリーの創業者である鳥井信治郎。社会で役立つ人材の育成を目指してコース制を導入した学校改革を行った。現在は、学力はもとより人間力重視を中心に据え、細かなコース制を廃止し、中高一貫の一貫選抜コースと、高校からの特進選抜コースのみ。近年、国立大、医学部や難関私立大学への進学実績が急成長したことで注目されている。雲雀丘学園中学・高校(兵庫・私立)なかい・ひろゆき1964年生まれ。大阪教育大学教育学部卒業。1987年に雲雀丘学園に社会科教諭として着任。2005年に兵庫県国際理解教育研究プロジェクトに参加。担任、研究部長、国際部長、学年主任を経て、2010年に教頭に就任。地域の有志や財界により創設された学園である背景から、歴代の校長は国公立中高校や民間からの登用であったが、2017年に初の生え抜きの校長、学園理事に就任。授業や部活の顧問を続けたかったため管理職には抵抗があったが、「頼まれごとは試されごと」と理解し、後輩の先生たちの将来の道筋をつけるためにも受諾した。「やりたいことは自分が学ぶこと」と語り、「学び続ける管理職」を自ら実践するために、近年は、初級教育カウンセラー資格を取得し、教育コーチングの学びも深める。この4月からは夜間の大学院で学校経営を学び始めている。 本校は創立以来、「親孝行な人はどんなことでも立派にできる」という「孝道」の精神と、「やってみなはれ」というチャレンジ精神を理念としてきました。近年はそれに加え、主体的にチャレンジする「自立型人間」の育成を目指しています。 私がそう考えるきっかけとなったのが、アメリカの大学への視察でした。アメリカでは優秀な学生順に、まず起業家になり、次いでベンチャー企業に勤め、その下が大企業勤務や公務員を選んでおり、日本とは真逆です。 「10数年後には現在ある職業の半分はなくなる」と言われる時代になり、それを聞くと大半の日本人が不安を感じます。しかし、アメリカの学生は新たな価値を生み出せるチャンスと捉えるのです。本校の生徒たちにも、世の中にある課題に対して、知恵やアイデアを出して解決していける、チェンジメーカーとなる人材に育ってほしいと考えました。 本校には財界で活躍する多数の理事がおり、学校改革を考えたときに、「既存の学力より人間力を重視しよう」という意見がほとんどでした。それはつまり、今の社会が求めているのが偏差値の高さではなく、この時代を生き抜ける力ということに他なりません。 自立型人間の育成に最も大事なのは、授業の質の向上です。生徒や教員相互の評価だけでなく、外部からの評価を受けるために、昨年から大学や他校の先生を招いての授業研究大会を実施しています。 また、人から学ぶ、人とのつながりの大切さを身に付けるために、教員室にいつでも生徒が質問に来られる、生徒と教員の交流スペースを作っています。試験期間前には卒業生が勉強を教えにくる時間も設けています。さらに、大学や企業の研究所と連携して、本物の学びを体験する研修を毎年夏に行っています。 こうした改革のなかで近年難関大学への進学実績が上がった大きな要因は、先生たちが一人ひとりの生徒に何が必要かを「見過ごさない、見落とさない、寄り添う」ことをしてきたことだと思います。それを実現できているのは、先生たち自身が勉強し続けているからです。 学びには、学校だけでは教えられないことがたくさんあります。生徒たちには「生涯学び続けてほしい」と伝えていますが、高校という集団のなかでなければ学べないことも多々あります。生徒たちが本校でしかできない体験を積むためにも、教員にも生涯学ぶ姿勢が求められます。教員になると人に教えを請うことが難しくなりますが、教員研修などに参加すると素晴らしい実践をされている大勢の先生と出合えます。全国の先生同士がつながって、「教えてください」とお互いの取り組みを共有し合えたら、教員がもっと成長するきっかけになると思います。〝Better than before〞の精神で、一段高く、一歩前に踏み出し、学び続ける生徒と教員の集団でありたいと願っています。学力より人間力を重視した改革チェンジメーカーとなれる人材育成「教えてください」と言える姿勢で生徒も教員も生涯学び続けてほしい中井啓之雲雀丘学園中学・高校 校長552018 MAY Vol.422

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