キャリアガイダンスVol.422
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思い描いている授業のあり方目指す生徒像実社会にあるものとの連動他の教育活動との連携● 「公的な領域への参加(国や地域の課題解決など)」ができるようになる● 「私的な領域への参加(私生活の課題解決など)」ができるようになる● 学ぶ意味を自分で見つけて、知識や概念を学んだり、思考力や表現力を鍛えていける参議院議員選挙に合わせた模擬投票「キャリア・シチズンシップ」と銘打つ1~3年生の総合的な学習の時間を中核に、各教科の授業でも教科横断的に「思考・判断・表現するための型」や「習得した知識」を活用地元弁護士と協働での模擬裁判授業内容に関連するニュースや新聞記事の活用公民科の授業・ 公的な課題(投票や裁判など)や私的な課題(バイト問題など)のロールプレイ・ 実社会のトピック(成人年齢引き下げなど)についてのディベート・ 社会の基礎的・基本的な知識や概念・ 思考・判断・表現するための型(情報の見方や比較の仕方、話し合いの手法など)活用・探究する場面習得すること 昨年度の1年生が最後に書いた振り返りシートには、こんな感想が寄せられた。 「一番印象的だったのは模擬投票を行った授業です。知るだけでなく、実際にやってみるっていうのが新鮮でした」 「自分が考えたりやってみたりする時間が多くてすごく楽しかった」 「公民は好きではなかったのですが、1年間で法律に少し興味が湧きました」 「社会のことなんて知らなかったけど、ニュース番組を見るようになり、今では社会の動きを見るのが楽しくなりました」 「本当に投票したわけではないですが、何党とかを投票したのは一歩大人になった感じで嬉しかったです」 なかには、こんな感想もあった。 「1年間やっぱり公民は好きになれませんでした。暗記が最後まで嫌いでした」 黒崎先生が目指してきたこと、実社会で活用するために物事を学ぼうとする 学んだことを活用まですることをくり返していくと、生徒たちは授業以外でも、「勉強したことを自分なりの文脈に置き換えて使おうとする」ようになってくる。 例えば前任校では、18歳になった生徒たちが、実際の選挙に「行ったよ」と報告しにきてくれた。前任校でも現任校でも、ニュースを見てこんなことを思った、と話しにくる生徒が現れた。学校の許可を得てアルバイトをしている生徒が、自身の勤務上の疑問について、これは法的にどうなのかと質問にきたこともあった。 「学ぶことの意味を実感してくれるようになるのが、一番嬉しいですね」姿勢は、この1年間である程度は浸透したが、公民科についてはまだ暗記科目のイメージを抱く生徒もいるわけだ。 だから黒崎先生は授業をさらに進化させようとしている。瀬谷西高校は、新科目「公共」(※欄外参照)の教育課程研究開発校に指定されており、黒崎先生はその研究も他の先生と共に進めてきた。今年度より、総合的な学習の時間を「キャリア・シチズンシップ」という名称で展開し、公民科の授業はもちろん、各教科の授業や特別活動ともつながりをもたせて、学んだことを相互に活用しあう教科横断的な学習を本格的に始める予定だ。 「青臭いかもしれませんが、教育を通して『自分たちでこの社会を良くしていけるんじゃないか』という想いを育てたいんです。そう思えるから、社会のためにも『学ぼう』と。そのような意欲をもてる人になってほしい、と思っています」生徒はこう変わる知って終わりではなくやってみる意欲をもつ■ INTERVIEW――これまでの授業で何が印象に残っていますか?「18歳選挙前ということで模擬投票をしたことや、模擬裁判をしたことです」「みんなで役を分けてグループワークをやった授業です」――模擬投票は、選挙にあわせてやったのですよね。「そうです。だから、ニュースを見るようになりました」「うち、今でも見てる」――政治や法律のことを話し合うのは難しくないですか。「楽しいです。劇を作るみたいに面白くしてくれるから」「知らないことを知れるしね」――これを知れて良かったなあ、というのはありますか。「憲法とかのこととかも、あんまり知らなかったけれど、ためになったよね」「あとはアルバイトに関係するものとか。結構、身近なことなので」――皆さんの話し合いを黒崎先生はどう見守っているのですか?「アドバイス系だよね」「これはダメとか禁止したりはしないです」――ほかに黒崎先生の授業の特徴はありますか?「たとえが多いよね」「多い、多い。生徒の名前を使って、誰々が何々をしたらって」「だから覚えやすいです。わかりやすい。自然と入ってくる」政治や法律が結構身近になりニュースも見るようになった1年4組の皆さん※「公共」は、2022年度実施の新学習指導要領で創設が予定されている公民科の新必修科目。592018 MAY Vol.422

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