キャリアガイダンスVol.422
63/66

失われた20年という言葉がありますが、日本のGDP水準は低迷したまま。大学を主体とした高等教育機関の学生数が増加しているのに、社会の生産性は上がりません。原因の一つは職業教育の軽視だと考えています。国際競争が激化し、国内の企業に自社で人材を育成する余裕がないなか、高等教育機関は実学軽視の教育を続けてきました。 視察で欧州を訪れるたび、マイスター制度のあるドイツや、ポリテクニック(実学中心の高等教育機関)の評価が高いフィンランドなどとの差を痛感します。日本も、アカデミックラインだけではなく、プロフェッショナルラインを加えた複線型教育を確立するべき。人敬心学園も、先頭に立って道を切り開くべく、同制度の一期校として東京専門職大学(仮称)を開校する予定です(設置認可申請中)。 同大学では、保健、医療、福祉の資格取得を目指すとともに、「多職種連携」「専門性の深化」「事業化力」「職業人基礎力」からなる独自のカリキュラムを提供。さまざまな企業・団体と連携した実践的な学びを行う計画です。特に育てたいのは、異なる分野とコラボすることで新しい価値を作り出せる人材です。「福祉介護イノベーション学科」(仮称)という学科名も、単に介護技術を学ぶのではなく、例えばロボット開発会社や福祉機器メーカー、サービス業との連携を通じて、ビジネスマインドを磨き、福祉や介護分野の可能性を広げる人材を養成したいからです。 専門職大学、専門学校を問わず、何のための教育かと言えば、生きがいを感じ、自ら未来を切り開く力をつけてもらうため。自己否定ではなく、自信をつけさせる。それには実践の場に身を置くことが近道です。同じ志をもった学生が集い、教員との心の結びつきを強くする。そんな教育を進めていきたいと思います。【理事長プロフィール】こばやし・みつとし●1943年生まれ。現在、学校法人敬心学園理事長のほか、社会福祉法人敬心福祉会理事長、全国専修学校各種学校総連合会会長を務める。サンフランシスコ州立大学客員教授。博士(学術)。【学校法人プロフィール】日本福祉教育専門学校、日本リハビリテーション専門学校、臨床福祉専門学校、日本児童教育専門学校、日本医学柔整鍼灸専門学校を運営。2019年に東京専門職大学(仮称)を設置予定(設置認可申請中)。日本の職業教育を変える。その第一歩として、2019年、専門職大学を設置予定全国専修学校各種学校総連合会会長として、そうした世界の流れを訴え続けたこともあり、2014年度には、専門学校で「職業実践専門課程」の制度がスタート。19年度からは、新たな高等教育機関として「専門職大学」制度が始まることになりました。その特色は、実務経験豊富な教員と長期の企業実習、そして産業界と連携した実践的なカリキュラムにあります。過去の事例を学ぶケーススタディ中心の教育ではなく、フィールドスタディを中心に据えることで、イノベーションを起こせる人材を育成する。これこそが専門職大学の魅力です。 保健、医療、福祉、保育を中心とした5つの専門学校を運営する学校法̶変革に挑む̶まとめ/堀水潤一 撮影/平山 諭学校法人敬心学園理事長小林光俊632018 MAY Vol.422

元のページ  ../index.html#63

このブックを見る