キャリアガイダンスVol.422
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 岐阜県立中津高校は恵那地域では二番手的な位置にいる伝統的な進学校。温和で真面目な生徒が伸び伸びと学ぶ校風である。 交通の便があまり良くないため、大学進学=家を出ること。そこで、生徒も保護者も多くが国公立大学への進学を希望する。学力的にはトップクラスには及ばないが、真面目に学ぶ生徒たちをなんとか国公立大学に合格させてやりたい…そんな先生方の気持ちから、徐々に体験重視のキャリア教育を推進し、モチベーションのアップや推薦・AO入試の合格率アップを目指すようになっていった。 例えば、進学校ではあまりやらない地元企業見学やインターンシップなども行っている。「高校や大学で何を学び、それが社会人としてどう活かされるか。そんなことを教師ではない大人から学んでほしいと考えています」と進路指導主事の小栗和成先生。また、看護師を目指す生徒には必ず2カ所のインターンシップを体験させる。実習先で話を聞き、病院による違いを知ってもらうのが目的だ。 さまざまな体験を経て、1年生と2年生の冬には弁論大会を実施。内容は課題研究にも近いもので、1年生は一人ひとりが文理選択や大学講座とからめて興味あるテーマについて調べ、2年生は進路によって12に分かれたゼミに所属し、その中で意見を交わしながら弁論を作成する。これは志望理由書の原型になることもあるという。 インターンシップで訪れた博物館で生物の多様性に興味をもち、学芸員から名古屋大学の先生を紹介してもらったことを機に勉強をして名古屋大学に合格した生徒がいる。また、太宰 治をテーマに弁論を作成し、AO入試で東北大学に合格した生徒もいる。「今後、こういう生徒をもっと増やしたい。主体的に外に出て好きなことを学ぶ、そんな生徒が増えてほしい」と小栗先生。さらなる体験学習の場を提供しようと、精力的に外部との交渉も行っている。 同校のもう一つの特徴に丁寧な保護者連携がある。保護者向け進路勉強会を年に8〜9回、夜7時から実施。保護者の進路意識を高めることにも熱心だ。 そして、スタディサプリ進路のサービスについては適性検査を皮切りにフルラインナップで活用。「以前は違う適性検査を利用していましたが、その後の流れが続いていないのでスタディサプリに変更しました。とにかく本校の進路指導部は多忙。仕事・学問研究や文理選択、志望理由・小論文の書き方などは、お任せできるのがありがたいです」と小栗先生。特に今後の活用に期待がもてるのが、弁論作成を通して興味のあることを精査し、それを『志望理由・小論文BOOK』を活用した学習につなげていくことだという。現在、県内でも注目されている同校の推薦・AO合格率は45%。さらなる上昇にも期待がもてる。どうすれば主体的に学べるか体験学習と保護者連携で生徒を鼓舞中津高校(岐阜・県立)地域で二番手の学校が国公立大学への合格者数を伸ばすには課題体験学習の多さによる教員の多忙感を減少し有意義な情報を提供活用 体験学習  保護者連携  推薦・AO【活用キーワード】1906年創立/普通科単位制/生徒数604人(男子280人・女子324人)/進路状況(2017年3月実績)大学進学154人、短大進学5人、専各進学22人、就職3人、その他8人●1年9月「企業見学」企業が必要とする人材や大学へ行くことの意味を語ってもらう。将来、地元で活躍する人材の育成の意味もある。●1年10月「秋季研修」大学や企業などで学問系統別の研修を行う。工学分野ではトヨタ産業技術記念館などを訪問。●2・3年8月「インターンシップ」病院や保育所、研究施設などで2日間のインターンシップを行う。●1・2年9月「現役大学生に聴く会」●2・3年11月「出前講座」大学教授の講義を聞き、学問への興味を深める。●全学年9~11月「校内大学説明会」各大学を招いて大学の特徴や入試のポイントを解説してもらう。保護者参加可。さまざまな体験学習全学年の保護者対象。19:00~20:30に実施回時期テーマ14月進学費用~マネー講座25月3年間を見通した中津高校の進路指導36月仕事から考える学部学科選び46月昨年度の入試を振り返って、今年度の入試の最新情報56月教育実習生に聴く会(パネルディスカッション)69月大学入試センター試験出願に向けて712月大学入試の基礎知識81月地元中津川の就職・就業状況92月大学入試センター試験を振り返って保護者のための進路サポート説明会リクルートサービスを活用した実践事例【進路】進路指導主事小栗和成先生取材・文/永井ミカ642018 MAY Vol.422

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