キャリアガイダンスVol.423
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す。(図1、②段目) いわゆる観点別評価や数値で表せるような評定はわかりやすいですが、これで子どもたちの学びをすべて測れるかというとそうではありません。関心・意欲・態度と呼ばれる学力の要素については評価の基準が曖昧で、例えば「関心がある」ということを授業中に何回手を挙げたか数えたり、「意欲がある」ということをノートを集めて見やすいかどうかでABC判定したり。これでは本当の意味で子どもたちの力を見ているとはいえません。結果は伴わなかったけれど努力をしている、といった学習の過程や、学びの中で本人がどう成長したと感じているかなども含めて評価しようということです。 同項目には、「自らの学習状況やキャリア形成を見通したり、振り返ったりできるようにすることが重要」ともあります(③④段目)。見通しをもって振り返ることは人が生きていくうえでの基本です。この重要性については現行の学習指導要領にも丁寧に書かれていますが、具体的にどう行うかについては触れられてきませんでした。そこで今回、ポートフォリオという言葉を明記したわけです。 そのうえで、「教員が対話的に関わる」こと(③④段目)。「特別活動」をが本文で最初に記述されるのが「何が身に付いたか―学習評価の充実―」について書かれた第9章です。 その中の「評価に当たっての留意点等」という項目では、「多面的・多角的な評価を行っていくこと」「総括的な評価のみならず、一人一人の学びの多様性に応じて、学習の過程における形成的な評価を行い」と述べられていま中核としつつ教育課程全体でキャリア教育を行うこと(①③⑤段目)。「将来的には個人情報保護に留意しつつ電子化」すること(⑤段目)など、その骨子が述べられています。 冒頭で述べたように、既に多くの小・中学校ではポートフォリオ教材が使われています。しかし、残念なことに、進級し、担任が変わると引き継がれることはまれ。せっかく1年間、学習や体験したことを蓄積し、「こんな失敗をして、そのときこう感じた。だ自らを振り返り、紡ぎこれからを見通す図2 「キャリア・パスポート(仮称)」とは児童生徒が自らの学習活動等の学びのプロセスを記述し振り返ることができるポートフォリオ的な存在● 記述するワークシートは児童生徒の発達段階を踏まえた構成とし、小学校から高等学校までの「学びの記録」とする● ワークシートの散逸を避け、有効に振り返りができるように小学校から高等学校までの記録を一冊に綴じ込むこととする● 国及び教育委員会が示すワークシートを参考としつつ、地域の実情や各学校の特色等に応じたワークシートを作成する● 進級進学時には、次の学年・上級学校に持ち上がり、継続的かつ系統的に蓄積する※文部科学省資料より。文部科学省「キャリア・パスポート(仮称)」普及・定着事業では、都道府県教育委員会等(奈良、福岡)において調査研究を実施しています。詳しくは、23ページを参照。図1 幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)より抜粋>>p56● このように、小・中・高等学校を見通した、かつ、学校の教育活動全体を通じたキャリア教育の充実を図るため、キャリア教育の中核となる特別活動について、その役割を一層明確にする観点から、小・中・高等学校を通じて、学級活動・ホームルーム活動に一人一人のキャリア形成と実現に関する内容を位置付けるとともに、「キャリア・パスポート(仮称)」の活用を図ることを検討する。>>p106● 具体的には、第1部第8章で述べた「キャリア・パスポート(仮称)」などを活用して、生徒一人一人が、自らの学習状況やキャリア形成を見通したり、振り返ったりすることができるようにすることが重要である。こうした自己評価に関する学習活動に、教員が対話的に関わり、目標を修正するなどの改善に生かしていくことや、複数の教員が関わり、一人の生徒を多面的に見てその生徒の個性を伸ばす指導へとつなげていくことなども期待される。>>p234● 教育課程全体で行うキャリア教育の中で、特別活動が中核的に果たす役割を明確にするため、小学校から高等学校までの特別活動をはじめとしたキャリア教育に関わる活動について、学びのプロセスを記述し振り返ることができるポートフォリオ的な教材(「キャリア・パスポート(仮称)」)を作成することが求められる。特別活動を中心としつつ各教科等と往還しながら、主体的な学びに向かう力を育て、自己のキャリア形成に生かすために活用できるものとなることが期待される。将来的には個人情報保護に留意しつつ電子化して活用することも含め検討することが必要である。>>p63● また、資質・能力のバランスのとれた学習評価を行っていくためには、指導と評価の一体化を図る中で、論述やレポートの作成、発表、グループでの話合い、作品の制作等といった多様な活動に取り組ませるパフォーマンス評価などを取り入れ、ペーパーテストの結果にとどまらない、多面的・多角的な評価を行っていくことが必要である。さらには、総括的な評価のみならず、一人一人の学びの多様性に応じて、学習の過程における形成的な評価を行い、子供たちの資質・能力がどのように伸びているかを、例えば、日々の記録やポートフォリオなどを通じて、子供たち自身が把握できるようにしていくことも考えられる。● また、子供一人一人が、自らの学習状況やキャリア形成を見通したり、振り返ったりできるようにすることが重要である。そのため、子供たちが自己評価を行うことを、教科等の特質に応じて学習活動の一つとして位置付けることが適当である。例えば、特別活動 (学級活動・ホームルーム活動)を中核としつつ、「キャリア・パスポート(仮称)」などを活用して、子供たちが自己評価を行うことを位置付けることなどが考えられる。その際、教員が対話的に関わることで、自己評価に関する学習活動を深めていくことが重要である。※下線は編集部による一人ひとりの学びをつなぐ小・中・高連携の具体的ツール「キャリア・パスポート」が描く生徒の未来長田 徹(文部科学省/国立教育政策研究所)132018 JUL. Vol.423

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