キャリアガイダンスVol.423
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 進学実績の躍進や多彩な人材の輩出で知られる聖光学院中学校高校が、オンライン上のポートフォリオ(以下、eポートフォリオ)にいち早く取り組み始めた。将来的には、高大接続ポータルサイト「JAPAN e-Portfolio」と連携する機能の利用も視野に入れているが、導入の第一の目的は「入試活用」ではない。工藤誠一校長はこう語る。 「eポートフォリオはあくまで『生徒が自分を省みて成長するためのツール』です。利便性の高いデジタルツールを使うことで、生徒は活動履歴の蓄積や振り返りがしやすくなり、また、教員も生徒に対する理解を深めて効果的に支援するのに役立つと考えています」 同校のeポートフォリオへの取り組みの第一歩は、探究学習におけるものだった。2017年度からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受け、研究課題の一つとして、高校1学年にグループでの探究学習を中心に据えた学校設定科目を設置。昨年度は「人が視線を感じる理由」「新融雪機は北国を救うか」「睡眠の質∝成績!?」などのテーマについて、各グループは教員や大学生・大学院生のティーチングアシスタント(TA)によるサポートを受けながら約半年かけて取り組んだ。 そのプロセスに、学校支援オンラインツールG-suite for Education(以下G-suite)を全面活用。テーマ設定から、研究経過や成果の共有、評価までのほとんどをG-suite上で展開し、チーム内での情報交換や教員・TAへの相談、学びの履歴の振り返りの活性化を促進した(図1)。 「生徒たちはG-suiteを使って、授業外でも活発に活動していたようです。探究の授業は週1時間ですが、オンライン上でプロセスが可視化されることで、時間や空間の制約を乗り越えて学び探究学習や自主活動のプロセス可視化を通して成績だけでない生徒の良さをすくい取って伸ばす聖光学院中学校高校(神奈川・私立)探究学習のプロセスをオンライン上に蓄積ポートフォリオ導入の流れのなかで、それを学校の中で「何のために」「どう活用するか?」。ここからは、各学校や地域で、生徒の成長、校種を超えた連携、キャリアへの接続などを目指してまさに今、取り組み始めた4つの事例をレポートします。生徒の学びを深め、つなぐポートフォリオ活用実践事例図1 探究活動におけるeポートフォリオ活用例● 調査内容、実験結果など探究プロセスの蓄積●進捗状況の共有● 時間外に教員やTAに相談、アドバイスをもらうチーム別探究活動● 蓄積してきた探究内容を基にポスターやプレゼン資料などをまとめ、チーム内、教員やTAと共有研究成果共有・発表●自己評価の記録●他グループの評価の記録●評価結果のフィードバック自己評価・ピア評価● スプレッドシートを使って全員のテーマを可視化・一元的に管理● 一覧を基に近いテーマの生徒をグループにするなどの支援を行うテーマ・チーム設定取材・文/藤崎雅子1958年創立/普通科/生徒数 中学校688人・高校687人(男子のみ)/進路状況(2018年3月実績)大学165人・その他66人学校データ162018 JUL. Vol.423

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