キャリアガイダンスVol.423
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甲府南高校教頭早川保彰先生甲府南高校教諭小林真美先生山梨大学アドミッションセンター藤 修准教授の活動にどういう目的意識で取り組み、何に気付いたか日々振り返って記録していけば、活動を通して本人が多くのことを学んで成長したことが見て取れるようになる。 「そうした成長を本人が自覚できることが大事で、大学側も、そのプロセスを評価したいのです」(藤准教授) そこで小林先生は、甲府南高校のポートフォリオを設計する際にも、この視点を積極的に取り入れた。 「生徒が活動内容を書き込む用紙に『目的』『手順』『気付いた点』『成果』『今後の課題』といった記入項目を示しておくことで(図2ー②参照)、活動を通しての成長の過程も記録として残るようにしました。項目ごとに記入欄を設けなかったのは、枠にとらわれずにスペースを自由に使ってほしかったからです」(小林先生) 甲府南高校のポートフォリオにはもう一つ特徴がある。研究校の多くがデジタルポートフォリオの活用を検討するなか、同校は紙ベースのポートフォリオの作成を軸に据えたのだ。 背景には、原型となる活動を既に行っていたことがある。SSH校として注力してきた「課題研究」。生徒が自ら研究テーマを見つけ、グループで実験や調査、発表に挑むという授業で、そこでは紙の記録を残すことを前から大事にしてきたのだ。 「課題研究では、アナログの構想メモや実験ノートが考えを深める鍵になることが多いんです。デジタルポートフォリオでは、そこが見えづらくなるのではないか、と。本校はこれからも課題研究に重きを置きたいので、生徒の探究の足跡がはっきりと残る紙ベースのポートフォリオでいくことにしたのです」(小林先生) しかもその記録の残し方は、教頭の早川保彰先生の話によれば、少しずつ進化させてきたものでもあった。 「SSH1期目は、『せっかくの生徒の研究だから形あるものに残そう』という感覚でした。これが2期目になると、SSHの認知度が高まり、生徒が受験先で『SSHで何をしたか』を問われ出します。そこで活動全体の経緯を1枚にまとめるOPP(One Page Portfolio)も導入しました。続く3期目には、課題研究の評価の観点を示すルーブリックを作成しました。活動する際に『何を目指せばいいか』を生徒が意識できるようにし、活動のあとで自己評価や相互評価による振り返りもできるようにするためです」(早川先生) さらに4期目2年次の今年度からは、課題研究だけでなく、日常的な特別活動や課外活動の記録も残していく形式にパワーアップ。ポートフォリオ『Frontier Discovery』として新1年生からの活用を始めている。課題研究の学びが深まり成長も実感できるように学期ごとなどに自己採点の結果をレーダーチャートにまとめれば、自分の得意分野や成長も一目瞭然だ。図2 甲府南高校のポートフォリオの構成各種活動――講座やボランティアへの参加、資格取得、発表会や大会への参加などは、1枚にまとまるように情報を凝縮し、再構成して記録。課題研究は、全体の経緯を見開きにまとめるOne Page Portfolioや、毎回の活動ごとにまとめる研究ノートがベース。切抜き資料などもファイルする。課題研究の進め方を図示したページ、課題研究で「何をできるようになることを目指すか」の評価の観点を示したルーブリック、それをもとにした採点表のページが続く。目標をもって活動することや、振り返りで自己評価することを、生徒がやりやすくなる。①課題研究のガイドライン課題研究や各種活動について、出来事だけでなく、目的・目標、プロセス(手順等)、成果、残った課題などがわかるようにまとめる②ポートフォリオ部分これまでの先輩の課題研究のテーマ例、ポスター発表例、口頭発表例を掲載。研究したことをどのような形にして発表するのかを、生徒がイメージしやすくしている。③参考資料生徒の学びを深め、つなぐ ポートフォリオ活用実践事例甲府南高校(山梨・県立) × 山梨大学(山梨・国立) 192018 JUL. Vol.423

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