キャリアガイダンスVol.423
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小中高の活動を『マイノート』で一貫して振り返り成長を自覚し、地域に対する想いも育む富良野緑峰高校(北海道・道立)1999年創立/普通科/生徒数309人(男子152人・女子157人)/進路状況(2018年3月実績)大学8人・短大1人・専門学校30人・就職65人学校データ 富良野緑峰高校は、2015年度より、富良野市立富良野西中学校、富良野市立富良野小学校と共に、北海道の「小中高一貫ふるさとキャリア教育推進事業」に取り組んできた。目指したのは「子どもたちがふるさとの未来について自分なりの意見をもてるようになる」こと。小中高で連携し、地域とも連携し、「ふるさとに心が向く」キャリア教育を模索した。 もっとも、同校は園芸科学科・電気システム科・流通経済科・情報ビジネス科からなる実業高校で、前から地元企業との連携には積極的だった。また、農業やものづくりを通じて小中連携も既に行っていた。その状態からさらに教育活動を充実させるには、どうすればいいだろう。 「研究校3校ではまず、12年間を見通した『富良野版ふるさとキャリア教育』の全体計画を作成しました。そのうえで、小中高〝連携〞しての活動にこだわるのではなく、小中高がそれぞれに地域連携のキャリア教育を推進しました。そしてそのすべての活動をつなげるための柱として取り入れたのが『マイノート』です。各校種で進めた活動を、児童生徒が『マイノート』に記録して振り返り、それを進学先に引き継ぐ(図1参照)。そうすることで小中高の活動を〝一貫〞し、12年間の継続的なキャリア教育を実現させようと考えたのです」(鎌田 到校長) 各校の『マイノート』は、北海道上川教育局で以前に開発されたキャリアノートを雛形に制作された。 富良野緑峰高校でその役目を担当したのが小野光宏先生だ。完成させたノートには、まず一つに、小・中学校版と内容的に重なる部分がある。例えば、学校生活を学期ごとに振り返り、何をがんばることができたか、項目ごとに自己評価するシートだ。 「授業の成績とは別の面から、自分の成長をチェックするためのシートですね。挨拶ができるようになった、相手の立場を考えて動けるようになった、とか。教員は『企業はそうした面も重視している』という話をよくしますが、生徒自身はそのような視点から学校生活を振り返ることがほとんどありません。定期的な振り返りで、自分の成長に気付くことができるようになってほしいです」(小野先生) また、この先の進路を考えるシートも充実させたという。職業や大学を調べて比較するシート、自分の適性を考えるシート、進路の行事のときに必ず使う振り返りシートなどだ。 「本校で課題に感じたのは、いろいろな体験をしてもそこから将来を見通すことはあまりせず、結果、3年生になっても進路の希望が定まらなくて教員に頼りがちになる生徒がいたことでした。受け身の姿勢では早期離職など不本意な結果になりかねません。このノートで『自分で情報を得て、選択をし、進路を決めていく』力も育みたいと考えました」(小野先生)小中高それぞれの活動に一貫性をもたせるために生徒が自分の成長に気付き自分で進路を選べるように図1 小中校一貫事業におけるマイノートの位置づけ左から校長 鎌田 到先生進路指導部長 小野光宏先生、電気システム科 西原翔太先生教頭 齋藤讓一先生〈生徒〉 ● 活動したこと、学んだこと、思ったことを記録する● 振り返りにより、自分の変容や成長を実感する〈先生〉 ● 児童生徒が入学までに蓄積してきたキャリア教育の概要と、その児童生徒のキャリア発達のプロセスを把握できる● 12年間の体系的、系統的な学習計画を組むことができる● 一人ひとりの児童生徒の理解が深まり、個に応じた指導・支援に役立つ小学校版中学校版高校版小中校12年間をつなぎ、振り返るマイノート取材・文/松井大助生徒の学びを深め、つなぐ ポートフォリオ活用実践事例富良野緑峰高校(北海道・道立)212018 JUL. Vol.423

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