キャリアガイダンスVol.423
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 生徒たちはこれらのシートを、朝学習、LHR、進路の行事、夏休みなどに記入。担任の先生に提出してフィードバックをもらってから(図2ー②参照)、ファイルに閉じている。 『マイノート』導入から3年が経った今では、将来を見通しながらノートで日々の活動を振り返ることは、生徒にとってなじみの行為になってきた。電気システム科の担任として生徒を見てきた西原翔太先生は、ノートを継続する効果を感じているという。 「ここが良くなった、ここはできていない、といった今の状態を生徒が自覚できるようになってきました。面談でも『僕はまだここがちょっと』という声が出てくるんです。進路指導でも、なぜそれをしたいか尋ねたとき、言葉に窮する生徒が減りました。紙の履歴がある良さも感じています。生徒がうまく説明できなくても、一緒にシートを見ていくと『ここを大事にしたいんだ』などと、履歴から想いを汲み取れるのです」(西原先生) 今年度の1年生からは、中学校でも3年間『マイノート』に取り組んだ経験をもつ生徒が入学。担任の先生たちは中学校訪問の際に、その中学校版の履歴をもらい受けたという。 「1学年の先生によると、その履歴から生徒のこれまでの内面の成長がうかがい知れるそうです。中学校から取り組んできた生徒は『振り返りや目標設定がうまくなっている』という声もありました」(小野先生) 12年間を見通した計画を立て、同じ地域で小中高それぞれが取り組むキャリア教育には『マイノート』で一貫性をもたせる。そうした連携の仕組みは、地域創生や地域人材育成の面からも効果を上げているようだ。 「複合的な要因があるとは思いますが、本校の2018年度の受験者は昨年比40名増。本校の卒業生の進路では、3年間で地元の就職者率が20%増加しました」(齋藤讓一先生) とはいえ、課題も残っている。 「『マイノート』の校種間をまたぐ活用は始まったばかり。小中高の12年間をつなぐ前にこの取り組みが尻すぼみにならないよう、組織的・系統的な活用とその定着を図っていくことが重要だと考えています。そして通学区域の広い高校が、小中学校から確実に記録を引き継ぐには、一部の学校ではなく、地域の全小中学校と足並みを揃えることも必要です。例えばコミュニティ・スクールへの移行を視野に入れるなど、本校が今以上に、地域と一体となって教育活動を進めることが欠かせないと思っています」(鎌田校長) 「『マイノート』の取り組み時間を十分確保することも当面の課題です。先生同士で、学習における振り返りの重要性や、振り返りの履歴が今後は調査書にも活きることなどをしっかりと共有したいですね。生徒が将来を見通して『マイノート』を使い倒すような環境を、地域全体で目指していきたいです」(小野先生)図2 富良野緑峰高校のマイノートの構成図3 一貫教育で育まれたもの①小中高一貫性のある振り返り②進路の行事・活動の振り返り小中高どの『マイノート』にも、学期ごとの振り返りのページがある。顧みるのは小学校では「生活」「学習」「運動」を、中学校では「生活習慣」「健康・体力」「自主・自律」など、富良野緑峰高校では「生活面」「人間関係」「学習」「進路活動」などだ。項目は若干違うが、12年間における成長を実感しやすくなる。生徒へのフィードバック(赤字)では、西原先生はよく「ふわっとした考えを具体的にする」ことを求めるという。例えば「勉強をがんばる」と記した生徒がいれば、「具体的には?」とコメント。意図がわからない生徒にはさらに「毎日1時間勉強すると数字を入れたり」などとレクチャー。生徒の思考が深まるように後押ししていく。この図は、2015年度から始まった「小中高一貫ふるさとキャリア教育推進事業」の3年間の成果を公の場で報告した際に示したもの。図の作成者は生徒で、発表も担当したという。『マイノート』も使って高校での活動を振り返るなかで、自分の自信も、地域に対する想いも深まったことが見てとれる。言葉にならない生徒の想いを活動履歴から見出すことも小中高を通した振り返りで地域に対する想いも磨かれる222018 JUL. Vol.423

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