キャリアガイダンスVol.423
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 中央教育審議会答申(平成28年12月)において、「小学校から高等学校までの特別活動をはじめとしたキャリア教育に関わる活動について、学びのプロセスを記述し振り返ることができるポートフォリオ的な教材『キャリア・パスポート(仮称)』の作成・活用」が提言された。※以下(仮称)は略。 「キャリア・パスポート」を活用して児童生徒が自ら振り返りを行うことで、特別活動を中心としつつ各教科等と往還しながら、主体的な学びに向かう力を育て、自己のキャリア形成に生かすのが狙いだ。 この全国的な展開に先駆け、文部科学省は2017年度に福岡県と奈良市の2地域を指定し、今年度までの2年間で「キャリア・パスポート」普及・定着事業を実施している。事業に指定された2地域の教育委員会では、それぞれの地域性や教育方針に基づき、独自のポートフォリオ教材や活用方法を検討。一部の小学校・中学校・高校の参加による実践を交えながら、調査研究に取り組んでいるところだ。 今後、全国で実施が予定されている「キャリア・パスポート」。先行して始めた指定2地域では、それぞれどう取り組み、どんな効果が見込まれるのか。その最新状況を見ていきたい。というものだ(図1)。「学びのプロセスを記述し振り返る『キャリア・パスポート』の考え方は、『鍛ほめ』のコンセプトと重なります。本事業により、学校独自の『鍛ほめ』の実践を小中高の縦のラインで効果的につなげたいと考えています」(主任指導主事・古賀浩利氏) 本事業には、同一地区内の小学校4校、中学校1校、高校3校が参加。福岡県版キャリア・パスポートとして「伊いと都っ子ノート」を作成し、昨年度後半より各校での実践を始めた(図2)。「既に各校で取り組んでいるキャリア教育のプログラムがあるので、それを活かせる形にしたい」(指導主事・堀 利治氏)と、「伊都っ子ノート」の内容とその運用をシンプルに設計している。「伊都っ子ノート」に取り組むのは、年度始めの目標設定と、年度末の振り返りの年2回。LHRや総合的な学習の時間にて、生徒はワークシートに沿って記入し、教員と保護者がコメントをつける。それをファイルに綴じ込み、それぞれのキャリア形成の参考にしていく。 昨年度の試行では、実践校から「生徒の変容がわかりやすくなった」との「鍛ほめ福岡メソッド」がある。これは「鍛えて、ほめて、子どもの可能性を伸ばす」をコンセプトとし、目標設定・挑む・振り返る活動を繰り返すことで、子どもが自律的に成長するための原動力となる人格的資質を育成しよう 福岡県が「『キャリア・パスポート』普及・定着事業」に手を挙げた背景には、県内小中高の教育の基盤とされている小中高を通じて個人のキャリア形成を支援する「キャリア・パスポート」の実証実験に取り組む子どもの可能性を伸ばす 県独自の「鍛きたほめ福岡メソッド」を軸に 小中高が連携できるツールとして開発 福岡県教育委員会・糸島高校(福岡・県立)奈良市教育委員会・一条高校(奈良・市立)福岡県指導主事堀 利治氏主任指導主事古賀浩利氏振り返り重視の考え方を小中高で一貫させる機会にシンプルなツールと運用で各学校現場になじみやすく取材・文/藤崎雅子福岡県教育庁 教育振興部 高校教育課生徒の学びを深め、つなぐ ポートフォリオ活用実践事例福岡県教育委員会・糸島高校(福岡・県立)/奈良市教育委員会・一条高校(奈良・市立)232018 JUL. Vol.423

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