キャリアガイダンスVol.423
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 沖縄県では県教育委員会が、キャリア教育支援事業として5校の高校を指定している。その1校が北谷高校だ。同校が2017年度の研究テーマとして掲げたのが「キャリア・カウンセリングの視点を取り入れた生徒指導」だ。このテーマを設定するにあたり、現状の生徒たちの課題を精査することから始まった。 まず、教員全員参加による研修で、自校の生徒の強み弱みを、KJ法を用いて洗い出した。その結果、明るく素直で他者を受け入れる優しさをもつ一方で、自分の意思や気持ちを表現したり、先を見通して行動することに課題が見えてきた。また、生徒アンケートから、自己肯定感がやや低いことも見えてきた。同校を第2志望として入学する生徒も少なくないため、自信が欠如していたり、入学時点での生徒の意識に温度差があることも考えられた。 同校が目標とする育成像は、「自分の未来をデザインできる生徒」だ。浮き彫りになった課題をもつ生徒たちを、この目標に向かわせるために何をすべきかを検討したとき、「教職員と生徒の距離が近い」という同校がもつ風土が功を奏すると、進路指導の手登根洋子先生は考えたという。 「本校ではもともと、生徒と教員がどこでも会話する校風があります。合理的配慮が必要な生徒が多い側面から、毎年4月に研修を行い、生徒と向き合い、声をかけあう土壌ができています。それは特定の生徒だけでなく、すべての生徒に対してです。この風土を活かし、日々行われている会話をキャリア・カウンセリングの視点で意識することで、生徒の成長を促すことができないかと考えました」(手登根先生) 日頃の生徒とのコミュニケーションをキャリア・カウンセリング的な対話とすることで、生徒を「きちんとした言葉遣いができ、自分の意思や気持ちを表現できる」、「前向きに考え、計画的に行動することができる」ようにすることを、研究の目標と設定した。 キャリア・カウンセリング的な対話により生徒たちの成長を促すとはいえ、それが具体的に、今までの生徒との会話とどう異なるのか、どのように学校活動の中に浸透させていけばよいのかはわからなかった。そこで、文部科学省の長田 徹氏を招聘し、同校のキャリア委員会の教職員対象に研修を実施。長田氏から助言されたことは、キャリア・カウンセリングに対する教職員の「マインドの統一」と、「スキルの共有」の重要性だった。 「生徒を受け入れるマインドは教員全員にある学校なので、生徒のためになるコミュニケーションを実施することについて異論を唱える先生はいませんでした」(功刀弘之教頭) 一方で、スキルについては、1976年創立/普通科/生徒数772人(男子415人・女子357人)/進路状況(2017年度実績)大学75人・短大9人、専修86人、就職38人、その他3人学校データ生徒が自らキャリアを考えられるようになる、対話のスキルを全教員が共有し生徒の日常の姿勢が変容北谷高校(沖縄・県立)図1 北谷高校の取り組みの流れ(2017年度)写真左から功くぬぎ刀弘之教頭、手てどこん登根洋子先生(進路指導)、小こばしかわ橋川哲先生(教務主任)生徒と教員の距離が近い校風を活かして対話を改善 取り組みの背景教員間のマインドの統一とスキルの共有が重要取り組みの内容キャリア・カウンセリング実践事例職員研修①生徒の強み・弱み、付けたい力焦点化ワーク6月文部科学省の長田 徹氏による「キャリア・カウンセリング理解と実践方法アドバイス」の講話9月職員研修②キャリア・パスポートについて、今後の研究計画について10月職員研修③追手門学院大学・三川俊樹教授による「高等学校におけるキャリア・カウンセリングの必要性」について11月生徒の自己評価力を高める教員の対話的な関わりとは?キャリア・カウンセリング実践事例 北谷高校(沖縄・県立)292018 JUL. Vol.423

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