キャリアガイダンスVol.423
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や生徒との接し方に変化があった」と回答し、「生徒たちが自分の気持ちを表現できるように変化してきた」と回答した教員も76%に上る。図6の「教員から見た自身と生徒の変化」のコメントのように、「教員が変わることで生徒が変わる」と、多数の先生が実感している。 「生徒に寄り添った対話をするようになったことで、生徒が学校は安心な場と受け止め、自分の気持ちをより素直に話せるようになったようです。けれど、本校では以前から生徒との会話が多かったので、生徒たちは教員や自身の変化にまだ気付いていないかもしれません」(手登根先生) しかし、会話がもともと多かったからこそ、今まで何気なく使っていた言葉を注意しながら話したり、教員の言葉数よりも生徒の言葉を引き出すことに負担はなかったのだろうか? 「例えば、『大丈夫』と安易に言ってはいけないことなどは新鮮な発見でしたが、『使う場面が間違っていたんだね』という認識で、負担ではありませんでした」(手登根先生) 「生徒が言葉を発したときに、今までは深く考えずに会話を続けていましたが、すぐには返さずに、一旦受け止めて間をおく習慣はついてきたと思います」(小橋川先生) キャリア・カウンセリング的な対話の意識を、教員たちが常に意識して忘れないようにするために作成したのが、図7のカードだ。三川先生から受けた研修のエッセンスをポイントにしてまとめ、いつでも持ち歩けるサイズのカードにして全教員に配付した。 「時間が経てば忘れてしまうこともありますし、新しく来た先生たちにも簡単に共有できる仕組みとして考えました」(手登根先生) 今後はキャリア・カウンセリング的な対話を、もっと教科授業にも落とし込んでいきたいと手登根先生は語る。 「最近は生徒の方から『今日の授業の目標は何ですか?』と聞いてくるようになり、ハッとしました。どの教員も授業のその日の目標を黒板に書くことは今までもやっていましたが、お題目としてだけの目標ではなく、『今日は何をできるようにする授業なのか?』を生徒自身が考えるようになってきたのです。常に意味や理由を考える対話をしてきたことで、今学んでいることが何の役に立つのか、生徒が自分の先を見据えて授業に臨むように、変わるのだと感じました」(手登根先生) キャリア・カウンセリングの施策だけの成果ではないが、北谷高校では3年間のキャリア教育支援事業を続ける中、昨年度は近年はいなかった国立大学進学者が6名も出るなど、進学率が上がっただけでなく、就職する生徒も優良企業から内定を受けるようになってきた。 「高校3年間、モチベーションを保って学び続ける姿勢ができてきていると思います」(功刀教頭) 「キャリア・カウンセリングは教員の意識を変えるだけで、比較的取り組みやすい施策だと思います。今後も研修を続けながら、本校のカラーとして根付かせていきたいと考えています」(手登根先生)図7 キャリア・カウンセリングを常時意識するための施策図6 教員から見た自身と生徒の変化三川先生の研修でのポイントを、名刺サイズのカードにまとめてラミネート加工したものを全教職員に配付。パスケースに入れて常時携帯する教員がいたり、いつも見えるところに貼るなど、リマインダーとして機能している。教科授業でも対話を工夫しさらに校風として根付かせる●生徒の課題を解決する方法を提示するのではなく、どのようにしたら課題を克服できるか、生徒に寄り添う意識ができた。●「できないこと」を叱るのではなく、なぜそうなのか、どう取り組みたいか自分で考えさせること、見通しをもたせるよう意識した。●進路のことでイライラし態度が悪い生徒がいたが、意見を述べることが上手な生徒であるため、面接練習の手本として皆の前で褒めるなどしていたら、性格も良くなり今までの悪態を反省し謝ってきた。●教師側が落ち着いて聞く姿勢で接したら、生徒も次第に落ち着いてきた。●生徒が発言したことに対して、何を言いたいのか考えるようになった。すぐに「大丈夫」や「何とかなる」ということを言わないように、気を付けるようになった。●生徒の考えを引き出すために、生徒が何を感じているのか何を言いたいのか待つようにしたら、少しではあるが生徒がしゃべるようになった。※キャリア・カウンセリングアンケート結果よりカード裏面カード表面322018 JUL. Vol.423

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